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【能登半島豪雨】新たに1人救出も死亡確認 断水など影響続く…復旧が難航

2024年9月25日 6:02
【能登半島豪雨】新たに1人救出も死亡確認 断水など影響続く…復旧が難航

能登半島を襲った豪雨から24日で3日となり、新たに1人が救出されましたが、死亡が確認されました。一方、被災地では24日も断水などの影響が続いていて、復旧が難航しています。

   ◇

24日、「news zero」は3人の安否不明者がいる輪島市久手川町へむかいました。

記者
「土砂の影響でしょうか。たくさんの木が家の前にたまっていますね。ガラスをみますと泥の跡でしょうか。頭の下くらいまでですかね、泥の跡が残っています」

土砂にのまれた町。

記者
「多くの自衛隊が今も作業していますね」

生存率が急激に下がるとされる72時間が経過する中、懸命な捜索活動が続けられていました。

安否がわからなくなっている1人、中学3年生の喜三翼音さん(14)。自宅にいたところ、家とともに川に流されたとみられています。

24日に見つかったのが…

翼音さんの父親
「ここに『キソ』って書いてある」

翼音さんの左足の靴。捜索を手伝っていた同級生が見つけたといいます。

翼音さんの父親
「冬場はこれ履いて今は夏なので履いてなかった。玄関先に置いてあったんです」

翼音さんの父親
「みんな本当に自分の娘のように心配してくれて、本当にありがたいです。無事に見つかることに越したことはないですけど、とにかくどんな形でも見つかってほしいです」

輪島塗職人の祖父の仕事も積極的に手伝っていたという翼音さん。

輪島塗職人の翼音さんの祖父
「私も朝市通りに店を構えて店をやっていたんですけど、(翼音さんが)中学2年になるころから少しずつ手伝ってくれるようになったんです」

地震で店が被災した時も…

輪島塗職人の翼音さんの祖父
「輪島の朝市組合の方々のご尽力を得て、出張輪島朝市というのを立ち上げてくれたんです。(その時)『じいちゃん、ばあちゃん、私も手伝いに行く』と言ってくれて、それからずっと地震後もずっと手伝ってくれていたんです。今では全部一通り、なんでもできるようになっていたんですよ。本当に大変優しい、かわいい子だったんですよ。これからの孫のいない人生って考えられないんですけど、そんなこと言っていられないので、とにかく今は1分1秒でも早く翼音を見つけてほしい。それだけが願いです。捜索に当たってくれている関係者のたくさんの皆さんに感謝して、もう少し頑張っていただきたいなという、そういう思いです。だからまた皆さん、よろしくお願いします。大変なところ申し訳ありませんが、今後ともまたよろしくお願いします」

珠洲市大谷町では貞廣一枝さんの安否が分からなくなっていますが、24日夜に動きがありました。

消防によると24日、現場にある土砂に埋まった家の中から要救助者を発見。午後8時前に救出されましたが、その場で死亡が確認されました。警察では身元の確認を進めるとともに詳しい状況を調べています。

これまでに8人が死亡。7人の行方や安否が分からなくなっている今回の豪雨。(死亡との重複可能性あり)

生活にも影響がでています。輪島市の公民館を訪ねると…

「水もらっていっていいですか」

水をもらいに来た住民がいました。

「ずっと断水がひどくてね」

市内に住む正角英子さん。

21日から「断水」が続いているといいます。

──電気は今は通っている?

自宅が断水 正角英子さん
「今は来ています」

──水だけが出ない?

自宅が断水 正角英子さん
「水だけが…」

自宅を見せてもらうと…

自宅が断水 正角英子さん
「水は出ませんよ、うんともすんとも言いません」
「洗うものをないように割り箸使ったり、紙コップ使ってなるべく水は使わない」

──紙コップありますね

自宅が断水 正角英子さん
「地震の時にやってたから」

──(地震の時の)知恵が今回の水害でいきている?

自宅が断水 正角英子さん
「そうですね」

今も各地で続いている「断水」。

そして、正角さんにはもう1つ頭を悩ませていることがありました。

自宅が断水 正角英子さん
「水につかりました、新米」

家族が所有する田んぼで収穫したばかりの新米が、浸水してダメになってしまったといいます。

自宅が断水 正角英子さん
「もうお先真っ暗。前が見えない、光が見えない。やっとちょっと軌道に乗ってきて、前に進めるかなという感じになったところにまさかここまでなるとは思わなかった」

こうした中、輪島市に到着した1台のバス。やってきたのは、24日から受け入れが始まった災害ボランティアです。

災害ボランティア
「気持ちが動いて、少しでもいいから助けになれたらという思いで」

向かったのは、床上浸水の被害を受けた仮設住宅です。

「ボランティアセンターです」

住人
「大変お待ちをしておりました」

まだ泥が残っている部屋から、水に浸かってしまった家具などを運び出していきます。

床上浸水した仮設住宅の住人
「5月半ばくらいかな、ここに来たの。(抽選に)ようやく当たったって喜んでいた。本当に嫌になります」

輪島高校は、3連休が明けて通常通りの授業がスタート。ただ、自宅が被災し家の片付けなどのために欠席した生徒もいたといいます。

輪島高校校長
「地震よりも今回の方が被害が大きかったという生徒の話も何人か聞いています。未来を担っている子どもたちなんで、しっかり前を向かせていきたいと思います」

また、珠洲市や能登町の小中学校では通常通り授業を行っていますが、輪島市内の12の小中学校は通学の安全が確保できないとして25日まで臨時休校となっています。

多くの人々の生活に影響を及ぼしている豪雨災害。能登半島では依然、多くの集落が孤立状態となっています。

大量の土砂をかき出す重機。孤立している輪島市七浦地区につながるトンネルは土砂崩れで通行止めになっていました。

さらに…

記者
「輪島市七浦に向かう山道の中です。大雨による土砂崩れの影響でしょうか、道が進めない状況になっています」

七浦地区は、今年1月の地震でも孤立状態になっていました。

珠洲市の大谷地区でも山肌が大きくえぐれ、大量の土砂が住宅や道に流れ込んでいます。

各地で起きた土砂災害などにより通行止めが発生。様々な地区で移動や流通が困難になり、孤立していました。

石川県によると、輪島市では8地区34か所。珠洲市では3地区11か所。能登町では1地区1か所。あわせて12地区46か所が今も孤立状態となっています。

(9月24日放送『news zero』より)

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