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「GoTo」東京“限定自粛”決着の舞台裏

2020年12月2日 20:52
「GoTo」東京“限定自粛”決着の舞台裏

東京の扱いが焦点となっていた「GoToトラベル」をめぐり、政府と東京都は東京発着の旅行について65歳以上の高齢者などに利用自粛を求めることで一致しました。 
  
2日の朝、小池都知事は次のように話しました。 
 
小池都知事「GoToキャンペーン国の制度でありますけれども、これについて、都として状況を鑑みながら旦停止をする、または自粛をすると言うことで投げかけたもので、結論として自粛をお願いするという形に落ち着きました」 
 
65歳以上の高齢者と糖尿病などの基礎疾患がある人には、12月17日までの間、東京を発着する旅行の利用の自粛を求めることとなりました。
 
 小池都知事から菅首相に対しては、この「自粛案」と「一時停止案」つまり一定の期間補助しないという2つの案が提示されました。ただ、「一時停止案」は、補助から外すということであり、年齢や基礎疾患の有無の把握がシステム上難しいため「自粛案」に決まったということです。 
 
高齢者などに利用自粛を求める理由は、重症化や死亡リスクが明らかに高いからです。 
 
12月1日の新規感染者を年代別で見ると、20代が一番多く、約半分が20代30代です。40代50代も多いです。
これに対して、重症者の内訳を見ると、重症者62人のうち、60代が12人、70代が28人、80代が14人と、9割近くが60代以上でした。先週行われた、東京都の感染状況を分析するモニタリング会議でも、専門家は「重症化リスクの高い高齢者の新規陽性者が増加していて、高齢者への感染の機会を、あらゆる場面で減らすことが必要」と分析しています。 
 
■国と都 決着に至った背景は?
 
「GoToトラベル」をめぐっては国と東京都が「お見合い」状態が続いていましたが、事態が急に動いたのは1日夜のことでした。 会談は1日、小池都知事から菅首相に申し入れがあり行われました。 関係者によりますと、1日夕方にかけて2人は電話で断続的に調整をしていたということです。
 
会談を終えた2人は次のように話しました。 
菅首相「東京都の対応とし理解できる、こう私からお話をしました」 
小池都知事「特に重症者の増大をいかに抑えるかという観点から合意いたしました」 
 
今回の決着にどんな背景があったのでしょうか。関係者は「双方歩み寄りの結果」と指摘しています。構図としては、菅首相は東京の「全面除外」は経済的な影響が大きく、菅首相自身が主導してきたため「GoToは失策」との批判を避けたいという狙いがあります。
 
一方、小池都知事は菅首相の意向も尊重しながら重症者の増加を防がなければなりません。小池都知事も経済の打撃は避けたいところ。 そういうなかで1日、小池知事から菅首相に要請する形で、全面ではなく「限定自粛」という案が持ち込まれました。この案には、菅首相も乗りやすく、感染対策と経済の両立をはかろうとしました。
 
 ある政権幹部は1日の夜、「最高のおとしどころだ。GoToを進めていく上で何も変わらない」と本音を明かしています。こうして、双方の利害が一致したわけです。 
 
■キャンセル料はどうなる?3日にも方針を発表
 
ただ、限定的な自粛となったことに対し、野党からは次のような声もでました。 
 
立憲民主党・安住国対委員長「中途半端な対策では何の根本的な解決にもならない。補助金を渡して旅行に行ってくださいという制度を残しながら、感染を減らしましょうっていうのは、政府のやっていることが曖昧で矛盾がある」 
 
なお、キャンセル料の取り扱いについて観光庁は混乱しており、まだ発表されていません。 小池都知事は、キャンセル料は「国に最終的に判断をしてもらう」と話していますが、65歳以上という年齢はどう証明するのか、全員に身分証明書を提出してもらうか、基礎疾患があるかどうかは個人情報で、どう証明するのか、などの問題があります。 
 
2日の夜、東京都の対策本部が開かれるのですが、関係者によりますと、この会議を受けて政府は3日方針を発表すことになりそうだということです。 
 
■専門家「誤ったメッセージとして伝わる可能性も」
 
国際医療福祉大学・松本主任教授は、指摘したいポイントがあると言います。 
 
(1)高齢者、基礎疾患のある人は重症化のリスクが高いだけで、感染を広げている訳ではない。若い人や中高年でも無症状で移動してリスクがある。 
(2)若い人は逆に「旅行に行ってもいい」という誤ったメッセージとして伝わる可能性もある。 
(3)そもそも高齢者などは、リスク高いから旅行を控えておこうという流れになってきているため、これにより旅行者がどれくらい減るのか疑問。 
 
松本主任教授は、なぜ全員ではなく高齢者などの一部に限定したのか、と指摘しました。 
 
政府と東京都が、お見合い状態から歩み寄って前に進めたことは評価できます。しかし、先送りしてきた責任の押し付け合いのようにみえ、不安も広がりました。感染対策は時間との闘いでもあり、今後の感染状況次第では、迅速に政策を打って対処してほしいです。

(2020年12月2日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より

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