GoTo全国停止 急転直下の舞台裏は?
全国一斉に一時停止となったGoToトラベルですが、急転直下の決断に裏側に何があったのかお伝えします。
■全国の死亡者数 過去最多に並ぶ
最新の新型コロナ感染者数です。東京では12月15日、新たに460人の感染が確認されました。重症者は12月14日から5人増えて、78人となりました。全国の重症者数は、12月13日の時点で588人と過去最多を更新しました。亡くなった方も増えていて、12月14日は過去最多に並ぶ47人でした。
■GoToトラベル キャンセル無料はいつまで?
GoToトラベルをめぐって決まったことをおさらいします。12月28日から1月11日までは,全国で発着すべて一時停止となります。それまでの期間みてみますと、札幌市、大阪市、名古屋市は、目的地とする旅行はすでに一時停止となっていて、12月27日までの間に新たに予約をしても割引が適用されません。東京を目的地とする旅行は、12月18日から停止となっており、出発するものはいずれも自粛を要請します。
予約が済んでお金を払っている場合、4都市(札幌市・大阪市・名古屋市・東京都)については22日から、ほかの地域の場合はこの期間を含む旅行は一切割引されません。キャンセルしたい人は、24日までなら無料でできます。
ただ、キャンセル料をとらない分、事業者への補償が必要になります。政府はこれまで事業者に対し、旅行代金の35%を補てんしていましたが、全国一斉停止の期間は50%に引き上げると発表しました。現場はキャンセルで混乱しており、コールセンターがパンク状態となっているとのことです。
■一時停止 なぜ1月11日まで?
なぜ1月11日までなのでしょうか。菅総理の狙いについて、政府関係者によりますと「やるなら『短期』に結果を出したかった。そこであえて学校や仕事が休みの年末年始のタイミングを選んだ」ということです。1月11日まで、17連休のところもあり、世の中が休みのときに集中的に感染をおさえたいとしています。
■どうして全国一斉に停止に?
どうして全国一斉に停止となったのでしょうか。政府関係者は、「世論が限界だった。感染者が3000人を超えてアウトだと思った」といいます。12月に入って、世論調査も「GoToをいったん中止かやめた方がいい」との声が合わせて8割にもなっており、政府の対応に不満の声が高まっていました。それにひきずられる形で内閣の支持率も低下していました。そこに、土曜日には感染者が3000人を超え、世論に押し切られる形となりました。
GoToは、総理の肝いり政策で2020年7月から始めましたが、総理は頑として「GoToで感染が拡大したエビデンスはない」といい続けてきました。政府関係者には「総理にGoToトラベルを続けて大丈夫という医療関係者はほぼいなくなった。菅総理は『裸の王様』になりつつある」とまでいう人もいました。
■野党からは“後手後手”と批判 党内からも不満
今回の方針転換に野党は批判しています。
立憲民主党・枝野代表「本当に後手後手の何乗かといっていいくらいの後手にまわったと言わざるを得ません」
年末年始のかき入れ時に経済活動がストップして、観光飲食業により多くの打撃を与えることになってしまったと枝野代表は指摘しています。
与党幹部は総理の決断に理解を示していますが、自民党の中からは「総理と世論の認識がかけ離れていて対応が後手に。党内の不満が高まっている」との声もでています。
■飲食店についての動きは?
各自治体でも年末年始を警戒する動きが加速化しており、東京都は、飲食店などに出している時短要請を1月11日までに延長しました。愛知県では、これまで名古屋市の一部の飲食店などに時短要請をしていましたが、県全体に拡大することにしました。
お店の人にとってみると、かき入れ時なので打撃が大きくなります。時短要請に応じたら支給される協力金について、年末年始の期間は、東京都も愛知県も1日4万円としていて、これまでの倍の金額にあたります。この財源ですが、自治体に対して政府が支援金を倍増する方針があるといい、それだけ政府も集中的に対策したい狙いがあります。
■年越しのイベントはどうなる?
年末には例年イベントもありますが、2020年は軒並み中止となっています。渋谷区が4年前から行っているカウントダウンイベントは、毎年10万人以上が訪れるため、2020年は中止となりました。ほかにも東京ディズニーランド・ディズニーシーも年越しやお正月のイベントが中止となり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンも恒例のカウントダウンパーティーが中止になりました、どちらも開園以来初だそうです。
これだけ大きな方針転換に対して、菅総理は囲みの短い会見でなくて、しっかり会見で説明すべきだと思います。総理が記者会見の場でコロナ対応について説明したのは、12月4日の1回だけです。これだと菅総理の危機感がなかなか国民に伝わらないのではないでしょうか。
(2020年12月15日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)