時短要請の拒否には罰金も 感染減らぬ東京
■東京 新たに748人の感染確認 過去2番目
東京では23日、過去2番目に多い748人の新型コロナウイルスの感染が新たに確認されました。9日連続で各曜日の最多を更新しています。重症者は69人と、22日から5人増えました。
今まさに忘年会シーズンですが、都の担当者は22日、会食について「家でやれば安心、ではない」 「夜の会食以外も気をつけないと、感染者は減らない」 と話していました。これまでに友人との1時間のランチで感染した例もあります。時短要請が出て1か月たちましたが、会食による感染者は減らない状態だといいます。
全国の感染者は22日、2687人となりました。神奈川で348人、千葉で152人と過去最多を更新。東京に隣接する地域で感染者が増え続けています。厚生労働省の専門家の会議で脇田座長は22日、「東京における感染継続が、周辺の自治体の感染拡大にも影響している」と指摘しました。東京の感染拡大を抑えることがいかに大事かということです。感染拡大を食い止めるカギは人の流れを抑えることだと専門家は指摘しています。
■北海道と大阪で効果みられる「時短」 東京では人出が減らず
北海道と大阪は飲食店への時短要請によって、人流の減少がみられました。ところが東京は、時短要請のあとも減少はみられないとのことです。
午後9時の歓楽街の人出を分析すると、 11月7日に飲食店などに時短要請を行った北海道では、この頃から人出がだんだん減り、同時にそれまで増加していた新規感染者も減ってきていることがわかります。つまり、時短の効果がありました。
また、大阪は時短要請を行ったのが11月27日ですが、 北海道と同じく、この頃から感染者も人出も減少傾向になり、効果がありました。
これに対し東京では、11月28日に時短要請が出て1か月近くたちましたが、北海道や大阪とは違い、期待されたほど減らず、感染者も増える一方です。
■時短要請に応じない店には罰金も 法整備を検討
こうした中、時短要請をもう少し踏み込んだものにする動きがあります。 いま、自治体の知事が行っている飲食店への時短要請は特別措置法に基づいて行っています。ただ、財政支援や罰則が明記されないまま、法的にあやふやなままやっています。
そこで政府は、2021年の通常国会に、営業時間短縮の要請に応じた店への財政支援、応じない店には罰金を科すなど罰則も盛り込む方向で検討を進めています。特別措置法が未整備のままだと対応できない事例があるため、この議論は国会の重要な仕事でもあります。
なぜ、東京の感染者数が減らないのでしょうか。呼びかけだけでは限界がきているのか、政策がきいていないのか。厚生労働省アドバイザリーボードの脇田座長は、 原因のひとつとして「医療機関のメッセージが人々に十分届いていない」と指摘しています。
■看護協会会長「使命感だけではすでに限界に近づいている」
看護師さんの置かれた状況はどうなっているのでしょうか。22日、日本看護協会がコロナ対応にあたる看護師の調査結果を明らかにしました。
感染拡大に伴う労働環境の変化や感染リスクなどを理由に、看護師や准看護師の「離職」があった病院は15.4%でした。そして、感染症指定医療機関や患者を受け入れた協力機関に限れば21.3%に上りました。
離職の理由は、身体的・心理的な原因もありますが、データから見ると「家族の理解が得られなかったケースが多かった」としています。 これは「第一波」の状況の調査ですが、家族への感染リスク、周囲からの差別も理由とみられています。
年末や3月末で退職したいという声も少なくないとして、今後離職する看護師が増えることに危機感を抱いています。 日本看護協会の福井トシ子会長は22日、次のように述べました。
「第一線で働く看護職員が業務に専念できる環境整備が必要だと考えます。第3波の今も、医療現場によっては、新型コロナウイルス感染症の対応をする病棟において、清掃や洗濯といったことも看護職員が対応しています。看護職員は精神の疲労もピークを迎えています。使命感だけではすでに限界に近づいているといっても過言ではないと思います」
人員不足になると幅広い業務が求められ、負担が重くのしかかっています。給与・賞与・危険手当など十分に支払えるように、国に財政支援を求めています。
軽症者が多かったときよりも、重症者が増えている今、最大の支援は感染しない・させないことです。2020年も終わりに近づいていますが、改めて第1波のときを思い出して、医療現場の声を受け止めて感染対策を徹底しましょう。
(12月23日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)