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尾身氏「リーダーは汗をかくメッセージを」

2021年1月6日 20:49
尾身氏「リーダーは汗をかくメッセージを」

■過去最多 東京で1591人の感染者 
1月6日、東京都で新たに確認された感染者は過去最多の1591人と、ついに1500人を超えました。1月5日に続き2日連続の4桁で、感染拡大が止まらない状況です。重症者も113人で過去最多、4日連続の100人超えとなりました。

■感染経路 年末年始の飲食伴う場 
1月5日に分かった感染経路ですが、会食で感染した人が49人。多いのが年末に忘年会で感染した人です。12月27日に忘年会をした20代の女性。また、忘年会か分かりませんが、12月29日に8人で飲み会をした20代の男性。12月31日から帰省して複数人で会食して感染した事例など、年末年始の飲食を伴う場でやはり感染が広がっています。

■尾身会長が緊急会見
1月5日夜、緊急事態宣言を前に、政府の分科会の尾身会長が緊急会見しました。宣言に臨むにあたって、まず現状の分析として「東京を中心とした首都圏(埼玉・千葉・神奈川)は、ステージ4相当の対策が必要」としました。ステージ4とは、分科会が定めた感染状況の最高レベルで、「爆発的な感染拡大および、深刻な医療提供体制の機能不全を避ける対応が必要な段階」。つまり、首都圏は今、感染爆発の危機を避けるための対策が必要ということです。

尾身会長は緊急事態宣言の効果と期間について次のように述べました。

尾身会長「(緊急事態)宣言そのものが、感染を下火にする保証はないと思います」「(感染下火になるのは)どんなに早くても1月末ということはないと思う。1か月未満でそこまでいくことは至難の業だと思います」

■1都3県の状況 東京ほとんど「ステージ4」
いまの首都圏の感染状況を見てみますと、東京は「病床使用率」をはじめ、ほとんどの指標が「ステージ4」となっています。「PCR陽性率」はステージ4ではありませんが、これは年末までの数字で、直近は13%を超えていて、「実質ステージ4」といっていいでしょう。

■尾身会長「緊急事態宣言だけでは沈静化できない」
では、緊急事態宣言によってこの状況をどう変えていくのか。

今回の提言では、宣言が出ている期間中にできるかぎり速やかに「ステージ3」相当、「感染者急増」のレベルに下げる。そして、対策を続けて「ステージ2」つまり「感染者がゆるやかに増える」状況にすることを目標としています。

ただし、その目標に向けて、尾身会長は「飲食店の対策は重要だが、今回はそこだけでは沈静化できない」と強調しています。菅首相飲食を強調していますが、それだけでは難しいということなんです。

■「8割おじさん」西浦教授も長期化シミュレーション
この尾身会長の指摘を裏付けるシミュレーションも出てきました。 

「第1波」の時に「8割おじさん」として有名になった京都大学の西浦博教授が出したものです。東京都の感染者数は1月5日1278人でしたが、現状のままで行くと、感染者は3月末に1日7000人に達するといいます。一方で、緊急事態宣言で「飲食店のみ」時短営業の対策を行った場合、2月末でも約1300人で、いまとほとんど変わらないということです。これを減らすために、前回4月の緊急事態宣言なみの効果がある「より厳しい対策」を行った場合、2月後半にようやく100人未満になるシミュレーションです。

つまり、最も早くても、十分に減少させるには2か月。それも、飲食店の対策だけではあまり変わらない、という内容です。

■尾身会長が強調「リーダーは“汗をかく”メッセージを」
では、どうすればなるべく短期間で減らしていけるのでしょうか。 

まず、飲食の場のリスクを徹底的に避けること。食を介しての感染拡大があるため、昼・夜・場所など関係なく、3密や大声、大人数や長時間の飲食を控えること。しかし、これだけでは足りなくて、この効果をあげるための「環境作り」として不要不急の外出や移動の自粛、企業のテレワークを極力7割に、大学や職場での飲み会の自粛、飲食テイクアウトの推奨などが求められています。


尾身会長は、すでに国民は感染対策に協力していて「またか」という気持ちがある、そのことは理解しているとした上で、次のように強調しました。

尾身会長「国や自治体のリーダーは選挙で選ばれた人たちですよね。自分らも汗をかく。自分らも難しいことをやるんだと。たとえば、いろんな措置をやる、経済的支援をやる。自分らも汗をかく、だから一般の人もやってくださいというメッセージがないと」「このことが私は極めて重要だと思います」

尾身会長は5日夜、1時間半にわたって強いメッセージを発しました。

これを受けて次は政治の番で、政治がどんな姿勢を示すのかです。緊急事態宣言の発出にあたって、与党側は菅総理が国会で説明することを拒否しています。リーダーがメッセージを出した上で、私たちも一緒になってこの難局を乗りこえることが大事です。

(2021年1月6日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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