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連休後の子への対応<前編> こどもが学校に行きたくないと言ったら? 親がとるべき行動とは? 叱るよりこどもの行動の理由に目を向ける

2025年5月11日 8:01
連休後の子への対応<前編> こどもが学校に行きたくないと言ったら? 親がとるべき行動とは? 叱るよりこどもの行動の理由に目を向ける

連休明けの今、学校を休む子が増える時期です。そういった場合、親はどう対応したらよいのか? 奈良県にある畿央大学の大久保賢一教授(専門:特別支援教育、応用行動分析学、ポジティブ行動支援)に聞きました。

大久保賢一教授 連休明けのこの時期は、新年度のクラス替えや担任教員の変更などにより、緊張しながら頑張ってきた子どもたちにとって、ちょうど疲れが表面化してくる時期です。子どもが学校を休みたがったり、疲れた様子を見せたりする場合、「疲れたなどと言わずに学校に行きなさい」「甘えているだけじゃないの」などと頭ごなしに叱るのは避けた方がよいでしょう。

まずは「どうしたの?」と声をかけ、子どもの話にしっかり耳を傾けることが重要です。そして、たとえ学校に行けなくても、子ども自身の価値が損なわれるわけではなく、親としての愛情に変わりはないということが子どもに伝わっていることが大切です。

子どもが頭痛や腹痛といった体調不良を訴えることも少なくありません。単に休みたいから言うのではなく、実際に身体的な痛みとして現れていることもあります。スクールカウンセラーをしていると、「学校に行きたくない」という自分の気持ちをはっきり表現できる子どもにも多く出会います。

このような場合、親御さんは「どうして行きたくないのか」「学校のどんなところが嫌なのか」という子どもの話を、途中で怒ったりアドバイスしたりせず、聴くことが大切です。

親御さんの対応の中には「何がなんでも学校に行かせる」といった強制的なアプローチと、「本人が行きたくなるまで休ませる」といった消極的な対応という両極端が見られることがあります。

しかし、効果的なのは無理強いせずに、実現可能な小さな目標を子どもと一緒に設定し、その達成を支援していくというバランスの取れた方法であることが多いです。

──子ども自身もなぜ学校に行けないのか、わからない場合も多いようですね。

そうですね。理由が複数あったり、本人も、うまく言葉にできなかったりすることはよくあります。私の経験では、主な理由として友人関係のトラブル、先生との関係、勉強の難しさ、そして感覚の敏感さなどがあげられるように思います。

例えば、厳しく叱るタイプの先生に対して、感覚が鋭敏な子どもは強い不安や苦痛を感じることがあります。また、授業の内容についていくのが難しい場合や、教室のザワザワした環境に耐えられない子どももいます。

原因に目星がついた場合は、改善に向けて学校と話し合うことが望ましいですが、そのような調整が難しい場合には、適応指導教室(今は教育支援ルームなどと呼ばれることが多いです)や民間のフリースクールなど、お子さんに合った場所を探してみるのも選択肢の一つとなるでしょう。

また、当面の休息が必要なケースもあります。友達関係に疲れ切ってしまったり、いじめを受けたりした場合などです。そんな時は、親御さんが子どもを責めるのではなく、まずはしっかり休ませてあげることが大切です。

私の経験では、回復してきたサインとして「暇だな」と子どもが言い始めることが一つの目安になるケースがあるように感じています。そういった回復の兆しが見えてきたら、私が親御さんにお伝えしているのは、学校に戻るにしても、他の選択をするにしても、「勉強を続けること」「人との関わりを練習する機会を持つこと」「日中の安全な居場所を確保すること」という3つの要素を大切にしてほしいということです。

これらのバランスを取りながら環境を整えることが、子どもの健やかな成長を支える土台になると考えています。