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【産後うつ】男女とも約1割 命のリスクは“お産”より“産後”に…国が進める「産後ケア」は9割が利用せず

2024年12月4日 11:00

■人によって違う産後の悩み──「お困りごとは?」と急に言われても…

庭野:10%が産後うつとおっしゃいましたが、 グレーゾーンを含めるともっといそうですよね。

園田:実際産後ケアを利用された方の話を聞くと、「自分1人で頑張らなくていいんだ」「地域に子育て支援してくれる人がいるんだ」という安心感を得られたといいます。また、悩みは人によって違うので、オーダーメイドで、検索してもわからない自分向けの情報を得られるのはすごくいいと思います。あと、長い時間、専門家が見ているから、思わず愚痴れるというか。

庭野:自治体の窓口で、5分ぐらいで「何かお困りごとはありますか?」と急に言われても言いづらいですよね。

園田:僕の知り合いで、小児科で産後ケアをやっている医師がいます。意義をきいた時にすごくいいと思ったのが、産後ケアの時に、(お母さんが)「実はもうこれで全部終わりにしようと思ったんです」と、自殺企図みたいなことがあったと話してくれると。そうなった時に自治体と連携してトータル的な支援につなげるような、ちゃんと見つけられる場所、思わず言える場所みたいなものがすごく大事だと思っています。

産後ケアは、元々はハイリスクな方しか使えないという自治体が半分だったんですけど、今年度から“ユニバーサルなサービス”に変わりました。

野中:私も自分が使いたくて探した時に、支援を受けられる対象に値するのかがすごく曖昧で、「サービスを利用したいけど…母親がそばにいるから自分は対象じゃないのか?」と考えてしまいました。

庭野:最近はゴージャスなホテルで特別ランチみたいな産後ケアが流行りですよね。

園田:それは今まで話していた市区町村事業でお金が補助されるものとは全く違う仕組みです。目的に合わせていただければと思っていて、リーズナブルな費用で専門家に話を聞きたいということであれば、自治体のウェブサイトを見ていただくのがいいと思いますし、自分へのご褒美も含めて、お金を出してもしっかり休みたい時には、産後ケアホテルみたいなところにアクセスいただけるといいんじゃないかなと思いますね。
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■「利用の度に紙を市役所に」産後ケア利用のハードル