【産後うつ】男女とも約1割 命のリスクは“お産”より“産後”に…国が進める「産後ケア」は9割が利用せず
庭野:先生も2歳のお子さんがいらっしゃるんですよね?
園田:僕の妻は助産師なんですね。国体にも行った、根性めっちゃある女性なんですけど、それでもやっぱり産後はしんどくて、産後ケアを利用したんですよね。利用した時に、思わず涙が出るみたいな、まさにそういう状況で、妻も何で泣いているか分からなかったそうです。その後妻と話した時に、多分24時間ずっとずっと緊張しっぱなしだったと。
野中:命が懸かっているので、せっかく自分の命を懸けて産み落とした子どもなのに、その命をどうしたらいいんだ!?と思うんですよね。
園田:専門家である助産師さんに子どもを託すことができて、連続6時間夜寝られたことでめちゃめちゃ元気になりました。うちは妻が医者になるために医学部に行っているので、夏休みに子どもを産んで3週間弱で復学したんです。
庭野:3週間でというのもすごいですね。
園田:その時住んでいる自治体は、「(産後ケアの利用のために)紙を市役所に出しに来てください」という仕組みで…
庭野:昼間申し込みの紙を出しに行くために学校を休むわけにはいかない。
園田:手続きに行けなくて結局2回しか使えず、ありえないなと思って、今、解決するための事業に取り組んでいます。
庭野:紙を出しに行くのではなくて、スマホで産後ケアの申し込みができるような仕組みを考えられているんですか?
園田:スマホで自治体への登録から施設の空き状況までパッと分かって、予約ができるという仕組みを今作っています。(来年2月リリース予定)
園田:病児保育とか、産後ケアというのは、地域にいる助産師さんや、看護師さん、保育士さんなどの専門家が子育て支援をしてくれるというめちゃくちゃいい事業なんですが、あまり利用されていません。だいたい、産んだ方の9割は1回も産後ケアを使っていないといわれているんです。
野中:もったいないですね。
園田:家族だけで子育てするのではなく、社会全体で子育てする。それが当たり前の社会になるように僕も取り組んでいきたいと思っています。
あとは、女性が育休をとるとキャリアが途絶えてしまう。それで子どもを産むのを躊躇することがあると思うんですよね。例えばフランスであれば、「育休明けはキャリアアップするんだ」と2000年前後にシラク大統領が3原則の中で言っていて、素晴らしいなと。
庭野:むしろ育休から戻ってきたら昇進すると。
園田:あんなに不確実性があって、マネジメントが難しい“子育て”をやってきた人ってめちゃめちゃ評価されるべきだし、レベルアップしているじゃないかというのが考え方の根底としてあって。それって僕、子育てを自分でやって本当に思うんですよね。そういう考え方もみんなにとって当たり前になってほしいです。
女性も男性も安心して産む選択ができるし、子育てもみんなでやるから大丈夫だよという価値観が当然になっていく社会をみんなと一緒に実現していきたいなと思っています。