“宣言”6都府県で5月末まで 広がる影響
政府は、東京など4都府県に出している緊急事態宣言の期限を5月末までに延長し、12日から愛知と福岡を追加することを7日午後、決定しました。宣言の延長による影響を取材しました。
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都内にあるお好み焼き店。お酒を提供する店に該当するため、4月から休業を続けています。政府は宣言の延長に伴い、お酒を提供する飲食店などに引き続き休業要請を行うことを決定しましたが…
広島風お好み焼き・菊丸 廣瀬小夏店主
「(お客さんに)待ってもらっているなら早く再開しようと10日に早めました」
休業要請の延長を見越して、ある“策”を用意していたのです。
試していたのは…
広島風お好み焼き・菊丸 廣瀬小夏店主
「ソフトドリンクの試作をしているんですけど」
“ご当地”広島県のノンアルコール飲料。子ども向けのおもちゃも急きょ用意しました。狙っているのは…
広島風お好み焼き・菊丸 廣瀬小夏店主
「お酒禁止なら足が遠のくので、ターゲットをファミリー層にかえる」
政府は酒類の持ち込みを認めないよう新たに要請するなど、まだまだ我慢が続く飲食業界。
その影響をもろに受けているのが都内にある運転代行業者です。
5日の売り上げを見せてもらうと…
NOAHサービス代表取締役 神呪正樹さん
「(5日の)売り上げは0。(飲食店での)お酒の提供がダメとなってからは激減となっていますね」
酒を飲んだあと、運転ができない人からの依頼が大半の運転代行業。車の台数を減らすなど、経費を削減しても、赤字は1000万円を超えているといいます。
NOAHサービス代表取締役 神呪正樹さん
「きょう(7日)も電話ならない状況なので、(宣言の延長は)厳しいですね」
都内にある旅行会社を訪ねると…
飛鳥旅行 村山吉三郎代表取締役
「4月27日から5月11日まで、取りあえず休ませていただいております」
ゴールデンウイークに入った予約はわずか1件。“かき入れ時”に臨時休業することにしたのです。
飛鳥旅行 村山吉三郎代表取締役
「今までほとんどないです。初めてのケースです。こんな悲惨なGWはないです。感染者数をまずは減らさないと、旅行という雰囲気にならない」
宣言の延長で営業再開のめどがたたなくなったということです。
この“タイミング”での宣言延長を不安に感じる人もいます。ブライダル写真がメインのフリーカメラマンです。6月には、かき入れ時の“ジューンブライド”を控える中、この2週間で結婚式での撮影が既に6件もキャンセルになったといいます。
自身の生活も決して楽ではないといいますが…
ブライダルカメラマン 峯一義さん
「結婚式を延期・中止というところで苦しんでおられる新郎新婦さんであったりとか、結婚式場。少しでも安心できるように、政府の方でも何かしらご援助いただければ助かります」
宣言の延長で早くも広がる影響、そして不安。
次々と踏みつぶされていく野菜。宣言が出されていない地域からも、悲鳴が上がっています。
茨城県古河市にある野菜農場。今年は天候にも恵まれ、出来がよいといいますが…
鈴木農園 鈴木弘晃さん
「残念なんですけど、取り遅れたキャベツがあちらにあるけど、あちらのキャベツはトラクターで廃棄する」
緊急事態宣言の影響で、取引先の飲食店が次々と休業。まだ食べられるのに、行き場を失ったキャベツは1000個を超えてしまいました。このまま放置しておくと、畑に病気が広がることもあるため、冬の寒い時期、丹精込めて植えたキャベツを自ら踏みつぶしました。
鈴木農園 鈴木弘晃さん
「いいキャベツなんですけどね…。もったいない、もったいないって、トラクターの中で言っていましたね」
生産者にますます重い負担を強いることになる飲食店への休業要請の延長。
一方で政府は、床面積が1000平方メートルを超える大型商業施設については、午後8時までの営業を可能にしました。また、原則無観客としてきたイベントについても、上限を5000人かつ収容人数の50%以下で午後9時までの開催を認めることとしました。
この“緩和”を喜んでいたのが、東京ドームの近くにある居酒屋です。
菜の家 塚田秀子店主
「水道橋あたりも潤ってくるし、ファンの皆さんも楽しみにしているからね」
とはいえ、“緩和”を手放しには喜べず。
菜の家 塚田秀子店主
「これだけの怖い変異株がまん延してきていて、私もうつりたくないし、お客さんもうつりたくないし」
こうした不安を抱える人は、緊急事態宣言下ではない地域でも…
6日、「発熱外来」と書かれた建物の前にできた列。栃木県のクリニックです。
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長
「発熱外来だけで100人くらいは。通常その半分くらいだったんですけど、急激にこの2日間は増えたなという印象」
ゴールデンウイークが明け、コロナが疑われる患者が急増しているといいます。こうした中、いま懸念しているというのが…
インターパーク倉持呼吸器内科 倉持仁院長
「酸素不足が起こりうるということは、今の段階から懸念をもって危機感をもって、今のうちから対策を練っておく必要性。インドの状況をみれば、そういったことが起こるのは明らか」
コロナ患者に行われる酸素投与。感染が急拡大しているインドでは、その酸素が不足していて、医師は日本でも同様の事態が起きないか心配しているのです。
医療の負担を軽減し、次こそ宣言を終わらせるため、私たちの我慢が求められています。