×

東京の感染者数試算…2週間後に1万人超も

2021年8月6日 18:15
東京の感染者数試算…2週間後に1万人超も

東京都などで新型コロナウイルスの感染拡大が急速に深刻化する中、1日あたりの感染者数が「東京だけで1万人を超える」との新たな試算が示されました。詳しく解説します。

 ◇◇◇

■全国で“過去最多”専門家は強い危機感

5日は全国で新たに1万5263人の感染が確認され、初めて1万5000人を超えて、過去最多を更新しました。東京、神奈川、沖縄など緊急事態宣言が出ている地域では、大阪を除いていずれも過去最多だったほか、山梨と熊本でも過去最多を更新しました。

政府は新たに感染拡大がみられる8つの県、福島、茨城、栃木、群馬、静岡、愛知、滋賀、熊本にまん延防止等重点措置を適用することを決定しました。これで適用地域はあわせて13道府県となります。期間は今月8日から31日までです。専門家からは非常に強い危機感が示されました。

政府の分科会・尾身茂会長「単に緊急事態宣言を出しても、(宣言を)出しているところさえ期待される効果がない。最終的には緊急事態宣言を全国に出す、その趣旨についてはみんな理解した」

政府の分科会の尾身会長は、全国に緊急事態宣言を出すことや、状況が改善しない場合、ロックダウンを可能にする法整備について検討をすべきとの認識を改めて示しました。

■感染拡大“震源地”東京…2週間後に1万人超も

そして、感染拡大の震源地ともいえる東京都では、5日、新たに5042人の感染が確認されました。5000人を上回ったのは初めてで、2日連続で過去最多を更新しました。この1か月で見てみると、4週間前の木曜日(7月8日)は896人だったので、1か月で5.6倍に増加しました。

こうした状況から東京都の専門家会議では、医療体制のひっ迫に強い危機感が示されました。

東京都医師会・猪口正孝副会長「重症患者を含む入院患者、自宅療養及び入院療養等調整中の療養者が急増しており、医療提供体制がひっ迫した状況にあります。緊急時の体制へ移行する必要があります」

東京都の感染者数の7日間平均を見てみると、先週のおよそ1936人から今週は3443人に大きく増加。今のペースが続くと、1週間後にはおよそ6129人、2週間後には1万人を超える都の予測が出ています。専門家は、「危機感を現実のものとして、共有する必要がある」と指摘しました。

■厳しい試算…17日に3万人突破も?

また、4日に開かれた厚労省の専門家会議でもさらに厳しい試算が示されました。京都大学の西浦博教授らのシミュレーションは、東京都の1日あたりの新規感染者数が前の週の同じ曜日と比べて、何倍かをもとに今後の増え方を試算したものです。

それによると、感染者数が前の週の1.7倍の場合、12日には1万人を突破し、24日には2万人を超え、26日には3万人を超えるなど、加速度的に増えていく試算。これより高いペースの前週比2.2倍が続く場合は、3万人になる時期が早まり、17日には3万人を突破してしまう試算です。

一方で、人流の減少などで対策の効果が出て、1.2倍に抑えられた場合でも、8月末には7000人を超える試算になっています。西浦教授は、現状で一番あり得るシナリオは1.4倍から1.6倍程度だとみていて、今後、連休やお盆でさらに人流が増えるとこれよりも上向く可能性があるということです。

■東京都、新たに“療養方針”見直し

こうした状況を受けて東京都は、5日、新たに入院などの療養方針の対応を見直しました。これまでは「発症から10日経過」し、かつ、「症状が改善して72時間経過するまで入院」としていましたが、新たな方針では、引き続き、中等症患者は入院措置としますが、症状が改善して、医師が退院できると判断した場合は、早期に退院させて、ホテルや自宅療養に切り替えます。

こうした対応によって入院患者数を少しでも減らして重症者のための病床を確保したい考えです。ただ、高齢者などは軽症でも入院措置を継続します。また、急増している自宅やホテルなどでの療養者に対しては、酸素濃縮器を使えるようにしたり、往診やオンライン診療による健康観察を強化するとしています。

■急に容体が悪くなったら…どうすれば?

ただ、自宅療養中に急に容体が悪くなったらどうしたらいいのか、東京都に聞いてみました。

まずは自治体の相談窓口に連絡し、次のような症状が出た時には直接119番通報してほしいということです。

・顔色が明らかに悪い、唇がむらさき色
・横になれない、座らないと息ができない
・酸素飽和度90%以下 など

 ◇◇◇

東京などを中心に、今起きつつある感染爆発や医療崩壊は、専門家がかなり前から様々な試算を示して警鐘を鳴らしてきたことが、まさに現実となっている形です。このままではさらに事態が悪化するとの予測を、国は今度こそ真剣に受け止めて、後手後手ではない対策とメッセージを打ち出してほしいと思います。

2021年8月6日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より