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病床使用率リスト入手「幽霊病床」実態とは

2021年9月6日 22:44
病床使用率リスト入手「幽霊病床」実態とは

東京都内の医療機関で、新型コロナウイルス患者を「すぐに受け入れ可能」と申告しながら、ほとんど受け入れていない、いわゆる「幽霊病床」の実態が日本テレビの独自取材で明らかになりました。

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■東京の感染状況 入院患者は増え続け、重症者も高止まり傾向

東京の新型コロナウイルスの新規感染者は、5日まで14日連続で前の週の同じ曜日を下回りました。しかし、小池都知事は、「陽性者だけ見ると減少し始めているが、入院患者や重症者は過去最多の水準。『医療非常事態』という認識」としています。

実際、入院患者は増え続けていて、4日には4351人と過去最多を更新しました。重症者も連日お伝えしていますが、高止まり傾向です。

■「幽霊病床」実態明らかに 病床使用率リスト独自入手

病床のひっ迫が続いてきた中、厚生労働省と東京都は先月23日、東京都内のすべての医療機関に、新型コロナウイルス患者用の病床を増やすことなどを要請しました。東京都知事と厚生労働大臣が連名での要請は異例のことです。それほどの状況でした。

そんな中、新型コロナウイルス患者を受け入れている、都内172の病院の病床使用率をまとめたリストを日本テレビが入手しました。このリストによって「幽霊病床」の存在が明らかになりました。

「確保病床」というのは、病院側が申告した新型コロナウイルス患者をすぐに受け入れ可能な「即応病床」のことです。都内172の病院で、先月31日の時点で、全部で5967病床あるうち、受け入れていた入院患者は4297人、病床使用率は72%でした。

さらに個別に見ていきますと、病院によって0%から900%の大きな開きがあります。申告数を上回る患者を実際には受け入れていたり、感染させる心配がなくなった患者を一般病棟に移して、次の新型コロナウイルス患者を受け入れるなどして、病床使用率が100%を超えている病院が50施設ありました。その一方で、病床使用率が40%未満の病院が27施設ありました。

退院が一度に多くでて、一時的に病床使用率が下がったケースもあるかもしれませんが、中には0%という病院も7施設ありました。

受け入れ可能と申告していながら実際は使われていない病床、「幽霊病床」ともいわれています。これまでこうした問題があるとはいわれていましたが、今回初めて数字として明らかになりました。

病床使用率が低い病院に話を聞くと、「ワクチン接種などもあり人手不足」「施設が古く設備が不十分なため、本当に緊急でなければ受け入れられない」とか、「軽症は受け入れるが、中等症以上は人も必要になるので難しい」などと説明しています。

今は、基本的には中等症以上で入院となるため、「軽症のみ」と条件がつくと、患者を入れられず、「幽霊病床」となってしまう状況もあります。こうした「ミスマッチ」の解消も必要なのです。

しかし、「即入院可能」と申告しているわけですから、病院の申告数と実態がかい離している状況は問題です。

■「幽霊病床」で補助金の受け取りも

また、補助金の問題もあります。こうした「確保病床」については、国から補助金が支払われているのです。

重症者用ベッド1床につき、最大1950万円、重症以外の患者のベッド1床につき、最大900万円の補助金が、申請をすると国から医療機関に支給されています。

また、これとは別にコロナ患者がいない時も即入院可能とするために、ほかの患者を受け入れないで、ずっとベッドを空けてキープしておくとなると、病院の収入に影響がでますので、コロナ患者の入院がない間は、日割りで「空床確保料」というのも支給されています。

仮に補助金をもらっているのに、患者の受け入れがないとなると不適切です。こうしたことから東京都と厚生労働省は、申告に見合った受け入れを求めていますが、関係者は、「実態は把握しているが協力してもらっている以上、ダメとは言えない」として、確保病床の申告数の見直しには慎重な姿勢を示しています。

■「医療者として一番の活躍時」病床使用率100%の病院も

一方で、4床確保で4人受け入れと、100%の受け入れを続けている八王子市の病院を取材しました。

清智会記念病院では、第1波から常にコロナ患者を受け入れていて、これまでに150人以上の対応にあたってきたそうです。当初はスタッフの理解を得るのに苦労もありましたが、治療を続ける中で、今ではスタッフ側から「増床しましょう」という声まであがっているということです。

ただ、この病院では地域の救急医療も担っていて、そう簡単にコロナ病床に切り替えることはできない現実もあり、今ある病床を効率的に回すことに力を入れているということです。

清智会記念病院・横山智仁理事長「感染症の認定看護師というのもやり始めた病院で唯一いなかったので。地域の医療スタッフなどの知識を共有できたし、僕らの知識も上がったので、医療者として今が一番の活躍時なんじゃないかと」

このように、なんとか貢献しようという病院もあります。新型コロナウイルス患者を積極的に受け入れているほかの病院からは、「補助金を申請しておきながら、実際は受け入れていない病院もある。まじめに対応している病院から見ると残念だ」と不満の声もでています。

医療体制に詳しい国際医療福祉大学の和田耕治教授は、「病床使用率が低い病院には、受け入れができない背景や理由を確認し、都などが近隣の医療機関との連携や対応を支援することも大切」「今、少し感染者が減る傾向が見える中で、こういう時こそ再流行に備えて、今後において患者受け入れができるようしておかないといけない」と指摘しています。

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この「幽霊病床」の問題が解決しなければ、患者の受け入れが、都が確保した病床数の7割程度でストップすることが続きかねません。

また病院側に立つと、積極的に受け入れている病院との不公平感もでます。「幽霊病床」の問題を放置することなく、政府も都も病院の支援をし、病院も対応してもらいたいです。

(2021年9月6日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)