ジェンダーへの関心 世代間で差
衆院選投票日の先月31日、NNNが行った出口調査によると、選挙の争点の一つだった「ジェンダー政策」に関心を寄せなかった人が、高齢になるほど多い傾向があることがわかりました。若年層はジェンダー政策に一定の関心があり、世代間で差が出ています。
■ジェンダー政策 高齢ほど関心向かず
主要政党が「ジェンダー政策」を打ち出し、主な争点の一つとされた先の衆院選。NNNが衆院選投票日の先月31日に行った出口調査によると、「ジェンダー政策」について、高齢になるほど関心が低下する傾向にありました。
外交、格差是正、環境や景気対策など11の項目から最も重視した政策をたずねたところ、「ジェンダー平等の推進」と回答した人は、18・9歳で8.3%、20代で6.5%でしたが、30代で2.5%、40代と50代では1.5%に減少。60代では0.9%、70代以上では0.6%にまで落ち込みました。
歳を重ねるほどジェンダー政策を重視しないことが浮き彫りになった格好です。
「少子化対策」についても、高齢になるほど低下する同様の傾向がありますが、「ジェンダー平等の推進」は、18・19歳および20代と70代以上の間に10倍以上の差が生じ、より世代間のギャップが大きくなっています。
■男性主導社会の「成功体験」が背景に
このような傾向の背景には、何があるのでしょうか。京都産業大学の伊藤公雄教授(ジェンダー論)は、「男性主導社会で経済成長を達成したという“成功体験”のある高齢世代ほど、ジェンダーに対する意識が薄い」と話します。
1970年代から80年代にかけて、男性は長時間労働、女性は家庭育児、パートなどの非正規労働という仕組みのもとで経済成長を果たしたという「成功体験」。この経験ゆえに、高齢になるほどジェンダーに関する関心は低くなり、若い世代との開きが大きくなる傾向があると指摘します。
さらに伊藤教授は、90年代に各国が男性主導社会からの脱却を目指した結果、ジェンダーギャップが低い国ほど経済成長しているというデータがあることから、少子高齢化が進む日本こそ「ジェンダー問題に本気で取り組まなければならない」と指摘します。
■ジェンダー平等達成 「女性の政治参画が何より重要」
世界経済フォーラムが2021年3月に発表した報告によると、日本のジェンダーギャップ(男女格差指数)は156か国中120位で、先進国の中では最低レベルとなっています。特に、「政治(147位)」と「経済(117位)」分野での格差が顕著です。
衆院選で女性候補者の比率は17.7%で、前回衆院選と横ばい。女性当選者は0.4ポイント減り、全体の9.7%でした。
伊藤教授は、「女性の政治参画、意思決定参画の拡大がジェンダー平等の達成に向け何よりも重要」とし、「政治家自身がジェンダー平等にしっかり取り組んでいないことの表れ」と厳しく指摘しています。