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連休後の子への対応<後編> 落ち着きにくい子への対応はどうする? 見通しを持てると子どもは安心する

2025年5月11日 8:02

■お手伝いも小さな段階にわけて

発達特性のある・なしにかかわらず、家庭でのお手伝いや作業を子どもに教える際には、大きな作業を小さく分けることがとても効果的です。この方法によって、子どもは複雑な作業も少しずつ無理なく身につけることができます。

例えば、お風呂掃除でみると次のように5つの段階に分けられるかもしれません。

1.洗剤をふりかける
2.壁を洗う
3.浴槽を洗う
4.蛇口などの備品を洗う
5.最後に水で流す

親御さんにとっては最初は少し手間がかかりますが、子どもの自立を育てる点では長い目で見ると効率的なので、次のようなやり方があります。

例えば、最初は親御さんが5つのステップのうち1~4までを行い、子どもには最後の「5.水で流す」だけをお願いします。終わったら「ありがとう。あなたのおかげでお風呂がきれいになったね」などと具体的に感謝の気持ちを伝えます。これを繰り返し、子どもがその作業に慣れてきたら、今度は4と5を任せるというように、少しずつ任せる範囲を広げていきます。このように段階的に進めることで、最終的には子どもが全工程を自分でできるようになります。

同じ考え方はおもちゃの片付けなどにも使えます。はじめは親御さんが大部分を片付け、子どもには最後の仕上げだけをやってもらいます。片付けが終わったら、「お部屋がきれいになったね」と一緒に喜びましょう。この過程を通じて、子どもは徐々に片付けの習慣を身につけ、やがてはより多くのものを自分から片付けられるようになります。

このように少しずつ任せる範囲を広げていく方法は、子どもの「自分にもできる」という感覚を育てながら、実際の生活スキルを無理なく身につけさせる効果的な方法です。各段階での成功体験と前向きな評価が、子どもの自立心と責任感を育てていきます。

■子どもが授業中に何度も立ち歩きする場合はどうする?

一見「問題行動」に見えるようなものも含め、すべての行動には、それをする(またはそれをしない)理由があり、その行動はその子どもが自分のニーズを表現する手段なのだ…という考え方にたつと、授業中の立ち歩きも、まずはその行動の理由を考えることが大切です。授業内容が難しい、集中し続けるのが難しい、先生に注目してほしい、あるいは教室の特定の刺激(音や光など)に敏感に反応してしまっている、など様々な要因が考えられます。

課題の量や難しさがその子にとって過剰であるというのは、よくある理由の1つです。通常学級では対応が難しい面もありますが、環境を整える観点からは、できる範囲でその子に合った内容や量に調整することが大切です。例えば、課題を小分けにする、イラストなどの視覚的な補助を使う、短い休憩を取り入れるなどの工夫も考えられます。

次に、教室を離れる必要がある場合の適切な方法を決めておくことが効果的です。例えば、「保健室に行きたいです」というカードを用意する、あるいは周りの子に気づかれないよう、先生との間で「消しゴムを立てる」などの合図を決めておくことで、つらい時に適切に伝える手段を子どもに提供します。こうした約束事を作ることで、子どもはつらい状況から一時的に離れてもよいと理解でき、安心感を得られます。先生や親御さんは、子どもが約束を守って適切に合図できたことを「約束が守れてよかったね」と認めることで、適切なコミュニケーション方法を強化します。

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■学習も段階的に分けて、少しずつできる実感を
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