予期せぬ妊娠などに悩む女性を支援 取り組み取材
児童虐待による死亡で一番多いのは実は0歳児。予期せぬ妊娠などに悩む女性を支援する取り組みを取材しました。
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――プルルプルル
「もしもし、はい、妊娠SOS相談です」
兵庫県神戸市の住宅街にある優しい緑色のドア。ここには24時間、電話やLINEで、予期せぬ妊娠などに悩む女性からの声が、多い時で1日60件以上届きます。
2022年度、児童虐待で死亡した1か月未満の赤ちゃんは15人で、月に1人以上亡くなるような状況。今年3月末には、東京都にも初めて「命を守る最後のとりで」、いわゆる“赤ちゃんポスト”が設置され、病院などによると、すでに複数の赤ちゃんが託されたといいます。
こうした中、公益社団法人「小さないのちのドア」が、赤ちゃんと女性“両方”を守るために数年前から行うのが、相談支援や行き場のない妊産婦の生活などを支援するマタニティホーム「Musubi」です。
20代の神村さん(仮名)も去年、妊娠中にこの場所に相談し、8月に出産しました。
神村さん(20代・仮名)
「(交際)相手と意見が合わなくて別れることになって、どうしよう、どうしよう」
当時の相談には…。
『妊娠しているのですが怖くて1度も病院に行ってないです。多分中絶はもうできない週になりました。
住むところが無くなり親も頼れず、今は無職なのでどうしたらいいか分からずご連絡しました。』
神村さん(20代・仮名)
「送信ボタンが押せなかった。なかなか勇気がでなかったです」
相談後にホームへ入居し、衣食住などの支援をうけ、気持ちにも変化が。
神村さん(20代・仮名)
「ここにいたら無事に出産できるかなって安心はしましたね。妊娠中むくみがひどくて、それを相談したら、レッグウオーマーとかそういう細かいもの用意してくれたり、マッサージしてくれて」
支援を行う永原代表理事は…。
小さないのちのドア・永原郁子代表理事
「多くは成育歴の中で非常につらい経験をされた方。パートナーに裏切られてる方が多い。うまくいっていない状態で相談に来られる温かさっていうのは大事。新しく生きる力をここで蓄えて、本当の意味での自立をしていただく」
最初は、ほぼ自分で赤ちゃんを育てられない状況ですが、結果的に4割ほどは自分で育てる道を選ぶといいます。神村さんも団体の支援で就職先が決まり、住む場所もない状況を立て直し、赤ちゃんとの2人暮らしをスタートしました。
神村さん(20代・仮名)
「自立に向けて生活していけることは本当にできると思ってなかったので、ここに来て良かった」
当事者として伝えたいことは…。
神村さん(20代・仮名)
「私は妊娠したこと、自分を責めてしまった。責める必要はないし誰も怒らない。どこかに伝えたらつながる道があるというのは経験した。助けてくれる人はいると思います」