【解説】「東京・平壌の連絡事務所には強く反対」焦る拉致被害者家族が譲れないワケ…「親世代」は横田早紀江さん1人に
その後、2008年には、北朝鮮が拉致被害者について「再調査」を行うと約束。2014年にも拉致被害者を含む、すべての日本人に関する「全面調査」を約束し、「特別調査委員会」を設置したものの、その後、結局自ら“解体”を宣言。2002年以降、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」などと主張し、一人も被害者を帰国させないまま、今年で23年になる。結果、いずれも北朝鮮の“パフォーマンス”と“時間稼ぎ”に終わっていると言える。
こうした経緯を踏まえれば、たとえ北朝鮮と「連絡事務所設置」で合意ができたとしても、北朝鮮にさらなる時間稼ぎを許してしまうばかりで、解決にはつながらないのではないか――。
横田代表も、
▼北朝鮮では、金正恩総書記のみが権限を持っており、連絡事務所を作っても、そこには決定権がないため、意味がない。
▼被害者は拉致されて以降、ずっと北朝鮮当局によって監視されているため、いまさら誰がどこで、どうしているかを調べる必要はない。
▼「一から調べましょう」というような連絡事務所や合同調査委員会では、時間だけが過ぎてしまう。
などと指摘。
時間とともに、日本で待つ家族が相次いで亡くなってきた中、一刻も早い解決のためには、“金総書記が「被害者全員を返す」と決断さえすればいいのであって、そのためには日朝首脳会談しかない”。これは、家族らが譲れない点だ。
■家族が反対表明する中…石破首相は「連絡事務所は有効」
石破首相も、これまで「(金正恩総書記に)実際に会いもしないで、見もしないで、相手を非難していても、これは始まるものではない。私は本当に、正面から向き合うことによって、皆様方とともに、この思いを実現してまいりたい」などと、金正恩総書記との首脳会談に前向きな姿勢を示している。(去年11月、国民大集会での発言)
ただ、一連の「連絡事務所」をめぐる石破首相の発言に、家族は懸念をさらに大きくしている。