路線バス運転士に外国人? 人手不足で採用の動き 日本語能力や待遇など高いハードル 関係機関が検討会スタート
深刻な運転士不足が続く県内の路線バスに、外国人を採用しようという検討が始まり、関係者が実現に向けて課題を探りました。
12日に福井市内で開かれた会議には、バス事業者や外国人の雇用・受け入れを担う機関など、関係者10人が出席しました。
深刻な運転士不足で去年、大幅な減便となった県内の路線バス。今年4月時点の運転士の数は、京福バスで141人、福井鉄道で76人となっていて、現在のダイヤで運行するのに必要な人数を確保できていません。
こうした中、国は去年、外国人の在留資格の一つ「特定技能」に「自動車運送業」追加しましたが、事業者からは懸念の声も上がりました。
■福井鉄道 吉川幸文 代表取締役社長
「建設や介護の人は周りに日本人がいる。バスの運転士が乗務すると完全に一人になってしまう。トラブルが起こっても助けられない」
■京福バス 岩本裕夫 代表取締役社長
「安全を守れるかが一番不安。地域の足を守っていく使命があるので、一つひとつクリアしながら達成できたら」
県は今年度中に、4回にわたって検討会議を開く他、国内の先進事例の視察も行い、来年度以降の受け入れ開始を目指します。
ところで、外国人がバスの運転士として勤務するために必要となる「特定技能」については、ペーパーテストを受検し、5年間の在留資格を取得する必要があります。さらに、日本語能力試験において「N3」レベルの合格も必要です。これは日常の場面で日本語をある程度理解できる水準で、介護分野の特定技能よりも求められるレベルが高くなります。
以上の2つの基準をクリアしたとしても、外国で取得した免許を日本の免許に切り替え、その後さらに大型2種免許を取る必要があり、実際に運転士として就労するにはハードルが高くなっています。
また、検討会議の中では「安全運行の責任が重い仕事ながら、給与が高くないバス運転士の仕事を果たして外国人に選んでもらえるのか」という意見も出されました。実現に向けてはまだまだ課題がありそうです。