「捜査2課です」警察かたり「金塊」買わせる新たな手口 被害は3か月で2億円超 狙われる理由は 福岡
福岡県内では去年、ニセ電話詐欺の被害額が過去最悪となりましたが、中でも多いのが警察官を装う手口です。ことしになって警察官を装い、現金ではなく金塊をだまし取る新たな手口も出てきています。なぜ金塊なのでしょうか。
これはFBSが入手した、不審な電話の録音データです。
■不審な男
「私は今回、愛知県警から捜査協力要請という形を受けて、福岡県警、刑事部捜査2課、○○○○といいます。」
警察官を名乗る男からの電話です。
■不審な男
「愛知県警では、○○さんがアイカワのグループの資金洗浄に加担しているのではないかと伺っていて。」
詐欺グループの資金洗浄に関与した疑いがあると告げます。この電話を受けたのは、福岡県内に住む40代の女性です。
■女性
「これはよくテレビで見るやつだと思って。これは詐欺師だなとすぐ分かって。」
県内で、警察官をかたったニセ電話詐欺が相次いでいます。これまでは現金をだまし取られる事件が多く発生していましたが、ことしに入り、新たな手口が急増しています。それは、金塊を狙った詐欺です。
警察によりますと、ことし1月、福岡市早良区の75歳の男性は、警察官を名乗る人物から電話で「マネーロンダリングの疑いがある」と告げられました。その上で「資産の流れを調べる必要がある」として、男性は指示に従い、金2.4キロをおよそ3600万円で購入しました。そして指示通りに金を袋に入れて自宅の玄関先に置いていたところ、袋がなくなっていたということです。
警察官などを名乗る相手から、金やプラチナをだまし取られる事件は、ことし1月から3月にかけて県内で11件発生していて、被害総額は2億1000万円相当にのぼります。
詐欺被害を防ぐため、県内の貴金属販売店では購入希望者への注意喚起をしています。
■ゴールド&アサヒ・片山ゆみ社長
「ご購入なさる際にはまずこちらのポスターを見ていただいて、詐欺の被害に遭っていませんか、ご購入大丈夫ですかということを必ず確認しております。」
こちらのお店は詐欺事件とは関係ありませんが、他県での同様の事件を把握していたため、去年から対策を行っていました。さらに最近、福岡県警からも依頼があったといいます。
■片山社長
「詐欺の被害に遭っていないか、販売時にも十分確認してほしいということで警察から依頼がありました。特に新規で購入するお客様などには、なぜ金を買おうと思ったのかこちらからお伺いしてなるべく詐欺に遭わないようにと心がけています。」
なぜ金が狙われるのか、詐欺や悪徳商法について20年以上取材を続けるジャーナリストは、その理由について次のように語ります。
■詐欺に詳しいジャーナリスト・多田文明さん
「ATMからお金を振り込んだりすると、警察と銀行含めた警戒の目がある。金を買うということは金が今、非常に高騰していますので、犯罪者グループが得たいという目的がありますが、金を投資の形で買うというのは当たり前なわけですよね。」