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【つなぐヒロシマ】祖父の被爆体験を語り継ぐ 家族伝承者・尾形健斗さん

2025年4月11日 20:06
【つなぐヒロシマ】祖父の被爆体験を語り継ぐ 家族伝承者・尾形健斗さん

読売新聞と共同で、原爆の記憶を記録する「つなぐヒロシマ」です。「家族伝承者」として、祖父の記憶を伝える被爆3世の男性です。

■尾形健斗さん
「広島市内で被爆した、僕のおじいちゃんの話をさせていただきます。魂を削って話してくれた胸の内を、これからお伝えします。」

34歳の尾形健斗さんは、祖父の被爆体験を語り継いでいます。

■尾形健斗さん
「こちらが、僕のおじいちゃんです。今年のお正月に、おじいちゃんの家で撮ったお気に入りの写真です。」

祖父の松原昭三さん・96歳は、原爆投下の翌日、叔母を探しに広島市内に入り、残留放射線を浴びました。そこで見た光景とは…

■尾形健斗さん
「飲み水を求めた人や、ただれた皮膚の火傷を冷やそうとした人が、防火用水の中で、そのまま息絶えていました。悪臭が広がり『ううう』と異様な低い声が、響きわたっていました。」

祖父の被爆体験を聞いたのは、小学4年生の時でした。

■尾形健斗さん
「初めて被爆したこと、戦時中の話を詳しく聞いたんですが、すごい険しい顔で語るのを見て、「これは聞かないほうがよいことなんだ」と感じて、そこから一切話を聞くことがなくなってしまって。」

思いが変わったのは、大学時代にニュージーランドに留学した時のことでした。

■尾形健斗さん
「私が『広島から来たんだ』というと、『アトミックボムがあったところね』ということを知ってくださっていて、こんな日本から遠く離れていたところでも、こうやってヒロシマの名前を知ってもらっていることに、すごい驚きました。それをきっかけに、自分自身もっと知る必要があるんじゃないかと感じました。」

広島市が始めた「家族伝承者」の1期生として、2年前から活動を始めました。2か月に一度、講話を続ける尾形さん。記憶のバトンを、次の世代につなぐ。平和な世界を実現するために。

■尾形健斗さん
「実際に体験していない我々には、被爆者の気持ちを簡単に推しはかることはできないということです。しかしながら、知る努力を重ねることは、僕たちにもできます。あなたも、核兵器のある時代を生きる一人です。当事者であることを、決して忘れないでください。そうすることで、世界から無駄な争いが少しでも減るかもしれません。」

【テレビ派 2025年4月11日放送】

最終更新日:2025年4月14日 15:51
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