【記者解説】冤罪「松橋事件」国に賠償命じる判決 弁護団が主張した「6つの違法」熊本地裁の判断は
14日の判決で熊本地裁の品川英基裁判長は、シャツの袖が見つかったことで、有罪は認められないと判断すべき状況になったと指摘。「地検がシャツが残っている理由を宮田さんに質問することなく有罪を求めたことは違法」と述べました。一方で、「県警の取り調べに違法性はなかった」として、国に対し2380万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。
弁護団が主張「検察・県警による6つの違法」
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
取材した司法キャップの花木瞳記者とお伝えします。裁判では、当時の熊本地検の手続きに違法な点があったと認定されたわけですね。
(花木瞳記者)
そうなんです。裁判で弁護団が主張したのが、熊本地検と熊本県警による「6つの違法」です。
①証拠隠し:地検
②長時間取り調べ:県警
③虚偽の自白を強要:県警・地検
④必要な捜査せず:県警・地検
⑤根拠不十分な起訴:地検
⑥裁判の強行:地検
(永島由菜キャスター)
こうした主張に対して、熊本地裁はどう判断したのですか?
(花木瞳記者)
熊本地裁が違法と認めたのは、⑥「裁判の強行」の1つだけでした。
有罪の根拠とされたのは宮田さんの「自白」のみでしたが、その自白の中で「燃やした」とされていたシャツの袖が見つかったのに、熊本地検が自白の信用性を改めて見直すことなく有罪を求め続けたことが違法と判断しました。
(緒方太郎キャスター)
弁護団は、熊本地検が「シャツの袖」を裁判に提出しなかった「証拠隠し」について強く批判していましたが、この違法性は認められませんでしたね。
熊本地検は、「裁判所から命令されていない証拠を開示する義務はない」と反論していましたが、熊本地裁も地検の主張通り、違法とは認めませんでした。
(緒方太郎キャスター)
最近では、福井県の「福井事件」で検察側の証拠隠しが不当とされる事例がありましたが、松橋事件では「証拠隠し」は違法と認められませんでしたね。