山岳遭難で救助された男性 当時の状況・心境を語る ベテランでも「命の危機感じた」
富山が誇る北アルプスの山々には、今年も多くの登山客が訪れました。
一方で、相次いだのが遭難事故でした。
遭難者のうち登山歴40年以上というベテランの男性が取材に応じ、当時の状況や装備の重要性について話しました。
こちらは、県警が公開した北アルプス・浄土山(標高2831メートル)での救助活動の様子です。
「おーい」「どこー?」
去年7月の正午ごろ登山中の男性から「体が濡れて寒くて歩けない」と救助要請が入りました。
悪天候の中、山岳警備隊員が男性のもとへと急ぎます。
「よかった!」「ケガなしね?」
隊員が山頂付近の小屋の中で雨風をしのぐ男性を発見し、無事に保護しました。
この男性にケガはなく命に別状はありませんでした。
救助された60代の男性が取材に応じ当時の状況について話しました。
■救助された男性
「午前中は晴れていて良かったが、非常に天候が悪くなって暴風でした。雨も非常に冷たかった、体も冷え切って…」
男性は、登山歴40年を超えるといいます。
これまでに険しい山々をいくつも踏破してきたベテランの登山者ですが、今回は命の危機を感じたと振り返りました。
■救助された男性
「全身濡れているし低体温になっているし、このまま時間経過すると低体温症で死亡する危険性があるので、救助要請したほうがいいと判断した」
県警のまとめによりますと、県内で今年発生した山岳遭難件数は、先月末までに126件で、6人が亡くなりました。
低体温症による遭難者は今年は確認されていませんが、去年は取材した男性を含めて3人いました。
男性はこの時、急な暴風雨に対応できる完全防水の雨具を携帯しておらず、服などにしみ込んだ水が体温を徐々に奪っていったといいます。
■救助された男性
「山はなめると、とんでもないことになる。今後山に登る際には、安全な装備をして十分な時間を取って、やらなくちゃいけないと反省しています」
山の天気は変わりやすく平地と比べると気温も想像以上に低くなります。
県警は、風や雨を防げる防寒具を必ず携帯するなど準備を万全にして登山を楽しんでほしいとしています。