富山県の高校再編どうなる? 特別企画「高校のこれから」
きょうからエブリィ特別企画として高校の再編や県立と私立との関係など「高校のこれから」についてシリーズでお伝えします。1回目のきょうは富山県が修正や議論を重ねてようやく先月掲げた「新時代とやまハイスクール構想」についてです。
私たちもこれまで何度もニュースにしていますが、再編の規模や学校数の減り方のほうがインパクトが大きく、将来像が分かりにくいですよね。
そこで、エブリィでは将来像を具体的にイメージしやすいよう、きょうから特別企画でお伝えします。まずは高校再編のキーパーソンである、県教育委員会の廣島伸一教育長に、私がたっぷりこの構想について話を聞いてきました。
上野キャスター
「狙い、目的を教えてもらえますか」
廣島教育長
「新時代に適応し 未来を開く人材を育成すること 、この1点が一番の目的ということになろうかと思います。その背景としまして、やはりこれまで誰も経験したことのない人口減少というものが進んでいるということがあろうかと思っています」
背景にあるのは急激な人口減少、少子化です。
この構想の目標年度、13年後の2038年度に中学校を卒業する子どもは、現在より3割以上も減少する見込みです。
3割以上も減るのであれば、当然、今の高校のカタチを維持するのは難しいですよね。
そうなんです。今回の高校再編の構想では、どこか一部の高校ではなく、全ての県立高校を対象に再構築して新たな学校をつくろうとしていることが、これまでとは大きく異なるところです。
そして新たな教育内容、学科構成として8つ掲げています。
普通系学科は6つあり、①スタンダード②STEAM③グローバル④未来創造⑤地域共創⑥エンパワーメントに区分されています。そして⑦総合学科と⑧職業系専門学科があります。
新しい高校は、この8つをどう組み合わせるかで特色を打ち出すことになります。
武道さん、気になる学科はありますか。
STEAMは聞きなれないので。
STEAMは科学のサイエンス、技術のテクノロジー、工学のエンジニアリング、芸術のアート、数学のマスマティックスの頭文字を取ってSTEAMと呼ぶんです。
それぞれどんな学科をイメージしたらいいのか聞きました。
上野キャスター
「STEAMはいわゆる進学校?」
廣島教育長
「(進学校)を、イメージしたものになると思います。今ある探求科というのがベースになるのかなというふうに思います」
上野キャスター
「このスタンダードのイメージを、つかみきれてなくて」
廣島教育長
「今の普通科をイメージしていただければよろしいんじゃないかなというふうに思いますね」
上野キャスター
「グローバルはなんとなくわかります。英語教育(国際感覚)英語だけじゃないですね、国際感覚を養う。未来創造、というのはスポーツ 芸術文化ですよね」
廣島教育長
「地域共創というような区分がございますが、地域の企業さんなどとより連携して、独特な教育をやるということも大切であろうと思います」
そして6番目のエンパワーメントですが、「自己発見」とも言い換えます。このエンパワーメントは、県として初めて設置しようとする学科となります。
背景には、授業についていけない生徒が増えていることがあります。例えば、定員割れした学科だと入試で選抜されないので、学力の差が大きいまま入学し、授業についていけなくなるというケースや外国人の生徒が増えているということもあります。
廣島教育長
「そのままドロップアウトするのではなくて、ちゃんと社会に出て立派な社会人としてなっていっていただくには、やっぱりその基礎から一旦 学び直すっていうようなことも必要。それを 県立高校でもしっかり その役割を果たしていきたいというような意味で 学び直し その基礎的な学業の習得、これが各生徒さんの自己肯定力も高めるというようなことにつながればいいなと」
そして、これらの学科をどれくらい、どう組み合わせるかで、大・中・小の学校規模を決めることにしています。
きょうはまず、一番議論を呼んだ1学年320人以上の大規模校について取り上げます。
廣島教育長
「生徒さんのアンケートを取った中では、複数の学科設置ですとか多くの科目から選択できる、そういう選択 履修 ができる そういったことを望まれる結果が多かったという事実がございます。大規模校となりますと、そうした充実した教員配置で教員の資質の向上 、それが生徒さんに深い学びにつながるといったようなメリットもあると思ってますし、何よりも(生徒数が)多ければ部活動も活発にできるというようなこともあって、そういった規模のメリットを生かした大規模校というのが一つあろうかと」
上野キャスター
「この規模感っていうのは、教育の目が行き届くのか?っていうイメージもあるが」
廣島教育長
「大規模校のほうがひとりひとりの先生は余裕がある形態になると思います。例えば小規模校だと1年から3年、理科とか化学とか1人の先生がみざるをえない状況です。それが大規模校に行くと、1学年に2人くらい化学の先生がいるとか」
参考にしたというのが、埼玉県で最も大きい県立高校、伊奈学園総合高等学校です。1学年の人数はなんとおよそ800人です。
「もう体育とか美術とかでもさ これだけあるのね、この中から好きなもの 選べるの(大学みたいですね)」
187の講座の中から、自由に科目を選ぶことができると言います。
「(外国語すごいですね)外国語すごいね(英語だけでもいくつもカリキュラムがあって、ドイツ語フランス語中国語)それを、自分で選ぶんだよね、それは提供できるスタッフがいるからできる話なんだよね、それは大規模校のメリット」
「ただそこまで本県でイメージしているかというと、ここまではいかないと思うんだけど、考え方は同じ」
大規模校は県東部と西部に1校ずつ配置する想定です。校舎は、既存のものでは狭いので新たに建てる方針です。
今までにない新しいカタチの高校で、ワクワクしますね。新設ということですが、どこにつくるのか、とても興味がありますね。
県は今年度立ち上げる検討会議で設置方針を決めていくことにしていますが、廣島教育長が今、頭の中で描いているイメージを質問してきました。
廣島教育長
「基本的には統合している中で、廃校という表現がいいのか、学校の敷地を活用するとかそういったこと。で、そもそも現在の高校だと8クラスがほぼ限度、キャパ的に。そうすると10は入らないのかな。400は1つのイメージとしてもってますね」
上野キャスター
「これだけの大規模な高校となると、全域からたくさんの生徒に通ってほしいということになりますので」
廣島教育長
「やっぱり交通の便のよいところっていうのは1つの条件になっていると思います。施設が新しいってのも1つの魅力なんだろうと思うんで、教育委員会としても新設校があればありがたいという風に思います」
交通の便というポイントから私の勝手な推測ですが、富山市と高岡市に1校ずつなのかなぁと思いました。
高校再編の具体的なイメージが少しわいてきました。
教育長の廣島さんがここまで踏み込んでざっくばらんに話されたのは、単に数の論理じゃなくて、県民の皆さんと一緒に高校の将来像を、賛否含め議論していきたいという思いの現れだったのかなぁと感じました。
エブリー特別企画、あすは気になる中規模校・小規模校や県立初の設置を目指す中高一貫校などについてお伝えします。