流された“思い出のDVD”家族の元へ… 奥能登豪雨 遺族の半年
豪雨から半年。
翼音さんの家族は輪島を離れ、石川県野々市市で生活しています。
祖父の喜三誠志さんはこの工房で輪島塗を作り、家族の生活を支えています。
翼音さんの祖父・喜三 誠志さん:
「もちろん翼音のことは毎日ね、思い出さないことがないですが、思いながらもう生きているっていう感じですから。あの日から時間が止まったような感じですよね」
翼音さんが使っていた制服やジャージーはいつも家族の目に届くところにかけられています。
翼音さんの祖父・喜三 誠志さん:
「見つかったときはこのジャージーを履いていたんですよね。こちらがね… 当時川の中で(見つかった)学校に着ていたもの。やっぱり捨てられないでしょ、ほとんど流されちゃったでしょ…」
家にあった翼音さんの物は、多くが豪雨で流されてしまい、家族の手元に残っていません。
そんな中、翼音さんの思い出の品を見つけてくれた人がいます。
滋賀県のNPO法人の代表、川村美津子さん。
豪雨の発生から約2週間後、ボランティアで訪れていたときにあるものを見つけました。
NPO法人つどい・川村 美津子さん:
「DVDがちゃんと置いてあったような感じに私には見えたんですけど…」
それは砂だらけになったDVD。小学校の卒業記念で作られたものでした。
NPO法人つどい・川村 美津子さん:
「本当にそこから持って帰ってよかったのか、どうだったのかっていろいろ考えたんですけど、 とりあえずきれいにして学校にお届けしようと思って…」
誰のものかはわかりませんでしたが、修復するために一旦、滋賀県に持ち帰った川村さん。
その後、輪島に住む知り合いから、翼音さんの物ではないかと連絡があったといいます。
たしかにDVDの裏には翼音さんの名前が書かれていました。
NPO法人つどい・川村 美津子さん:
「ご家族が見られたらつらいばっかりかもしれないけど、でも翼音さんが生きてた証しのものが見つかったのなら、それはそれで私が反対の立場でも嬉しいかなっていうふうに思いたいのが私の気持ちです」
届けたかったのは、翼音さんが生きていた証しです。