田植えシーズン迎えても 「いつ耕作できるか…」 災害の爪痕残る奥能登の農業は今
各地で田植えシーズンを迎えている石川県内。ただ、いまだ災害の爪痕が残る能登の被災地では、復旧が追い付いていない農地もあります。なりわい再建に向けて取り組む農家の現状を取材しました。
川原農産・川原 伸章 社長:
「(去年の豪雨では)車があるあたりまで水が上がってたんですよ。このへんくらいまで水が来てたんで。この下の田んぼは完全に水没してた状態ですし、あれは地震によって真ん中が崩れて」
石川県輪島市町野町で農業法人を営む川原伸章さん。
いまだ災害の爪痕が残る地域で、田植えの準備に取り掛かっていますが、これまでにない不安を抱えています。
川原農産・川原 伸章 社長:
「どれだけ作れるのかっていう復旧スケジュール自体も、我々には示されてない状況なので、従来の3分の1程度、耕作できればいいかなっていうところ」
去年、地震と豪雨で二重被災した町野町。川原さんの農地も甚大な被害を受けました。
ことしの作付け面積は震災前の3分の1ほど。
従業員は全員退職したため、いまは田んぼの管理や事務作業を、一手に引き受けるしかない状況だといいます。
川原農産・川原 伸章 社長:
「上からの雨で洗い流されて、田んぼの中に砂利が入ってしまってますし、いつ直るか分からないということは、いつ耕作できるか分からない」
一部の田んぼでは、ポンプで水が引けるのかもまだ分からず、全面的な再開の見通しが立たないコメ作り。
こうしたなか、去年11月に設置されたのが、石川県や国、JAなどで構成する奥能登営農復旧・復興センターです。
石川県奥能登農林総合事務所・葛城 正浩 所長:
「特に豪雨災害のあった場所とか、大規模ながけ崩れ、土砂崩れがあったところは、復旧までに何年もかかるだろうと考えています」
被災した農機具の買い替えや融資の相談、作付け指導などをワンストップで対応。
震災前に比べ、作付け面積が3分の2程度にとどまっている奥能登で、今後も支援を進めるとしています。
石川県奥能登農林総合事務所・葛城 正浩 所長:
「6月に入ってからでも十分にコメ作りはできますので、ぜひ、ことしは6月に入ってからも田植えを頑張ってほしいなと思います」
復旧が追いつかないまま迎えた田植えのシーズン。いま、川原さんを支えているのは…
川原農産・川原 伸章 社長:
「正直、豪雨災害のあと、廃業するところまで考えましたし、だけど、それをこう、いま一度奮起させてくれたのもボランティアさんですし」
各地から月に3回ほど集まってくれるボランティアです。