旧日本海軍の戦闘機紫電改 阿久根の海中から引揚げへ
海中に沈んだ旧日本海軍の戦闘機、紫電改です。翼や機銃のようなものがしっかり残っているそうです。80年前、阿久根市の海岸の近くに不時着した、この戦闘機を引き揚げようという動きがあります。戦闘機に乗っていた隊員の慰霊祭が行われました。
阿久根市の静かな海岸。旧日本海軍の隊員がここで命を落としました。戦闘機、紫電改に搭乗した林 喜重 大尉です。21日、阿久根市脇本の海岸の近くで林 大尉の慰霊祭が行われました。開いたのは地域の住民たちで作る「紫電改・林 大尉 機を引き揚げる会」です。慰霊碑に玉串を捧げ林大尉の冥福を祈りました。
(東海大学・ 太田 尚樹 名誉教授)
「一言でいえば非常に優しい人で涙もろい人だった。そのままにしておくという考えもあるかもしれないが、みんなが目に触れて現実の姿をもっと知りたいですね」
「引き揚げる会」はこれまで4回に渡って潜水調査を行い映像や写真などを公開しています。この紫電改には、神奈川出身の林大尉が搭乗し1945年4月、アメリカ軍のB29編隊と交戦して1機を撃墜したのち、阿久根市折口の海岸近くに不時着。林大尉は戦死しました。地元の人とって林 大尉は命の恩人だといいます。
(出席者)
「阿久根市折口の人は林少佐(戦死後、昇進)に感謝しなければ。彼がいたから折口の街は焼夷弾による被災を免れたんですね」
(東海大学・ 太田 尚樹 名誉教授)
「きょうのように波静かな時というのは、そういう時代の到来を望んでおられた。あの頃は最後の砦だったB29に立ち向かう。それの飛行隊長ですから」
引き揚げる会によるとこれまでの調査で両方の翼、機体の特徴である20ミリ機銃なども確認できたということです。会では、引き揚げにかかる費用を試算してクラウドファンディングも検討することにしています。
(紫電改・林大尉機を引き上げる会 肥本英輔代表)
「特に資金調達の面がかなり大きなハードルになってくると考えている。そのあたりをどういう方策をとっていくか考えなければなぁ。プレッシャーになっています」
阿久根市で命を落とした林 大尉が搭乗した紫電改。戦争の記憶を伝えるその時を静かに海中で待っています。