山陰最大の戦災、旧日本陸軍の船、玉栄丸の爆発事故から80年を迎え、
4月23日、境港市では犠牲者追悼の式典が行われました。

この爆発事故は、太平洋戦争末期の1945年4月23日旧日本軍の徴用船、玉栄丸が境港での爆薬荷揚げ中に爆発し、死者120人以上重軽傷者309人以上という凄惨な被害をもたらしました。
又、この爆発事故で境港市の市街地の3分の1が被災しました。

境港市で慰霊碑献花式が行われ市や地元関係者などおよそ30人が犠牲者に花を捧げたり慰霊碑に手を合わせたりしていました。

参列者の中には、当時の様子を目撃した人や家族を失った遺族の姿も。

目撃した遠藤量さん（88歳）
「怖ろしかったですね。戦争を知っている一人として語り継ぐ責任があると。」

遺族の仲元輝代志さん（84歳）
「爆発があった後に家はそこにあったんですけど焼けて何もなくておふくろと一緒に探したけどおやじの死体はみつからなかったです。」

また、境小学校の6年生40人も、平和学習のため慰霊碑に訪れました。
そして児童の代表が、悲惨な戦災が繰り返されぬよう平和に向けたメッセージを読み上げていました。

児童達は、この事故を長年研究してきた郷土史家、根平雄一郎さんの説明を受けながら周辺の被災地域を巡って身近であった戦災の悲惨さを学びました。

児童
「玉栄丸爆発事故を知ったのは今回が初めてだった。こわいなと思いました。この出来事を受け継いでいきたい。」

児童
「戦争ってやってはいけないものなんだって。世界でみんな仲良しみたいになれば戦争はやめられると思います。」

戦況が厳しくなり旧陸軍が本土決戦に備えて船に爆薬を積んだことを軍事機密にする中で起きた玉栄丸爆発事故。戦場だけが、戦争ではありませんでした。

郷土史家 根平雄一郎さん
「戦後が戦前になってしまう、そういうことにならないために（子ども達に）君たちも今、出来ることを取り組むことが平和な世界を構築するには大事なんだよというメッセージを送り続けています。」

戦後80年を迎える今年も世界各地では、戦争や紛争が続いています。
年を追うごとに被害の大きさも明らかになってきている玉栄丸爆発事故。

二度と同じことを繰り返さないために今後も世代を越えて戦争の悲惨な歴史を語り継いでいくことが求められます。