【特集】「ポニー先生」世界へ 病気と闘いながらパラ馬術で世界を目指す男性に密着 鳥取県鳥取市
日本海テレビでは度重なる病気と闘いながら障害者の馬術競技パラ馬術で世界を目指す鳥取市の男性を紹介してきました。6月、ドイツとオランダで開かれる大会に出場することになりました。
白毛の愛馬とともに練習に励む男性。鳥取市に住む大川順一郎さん、65歳です。8年間一緒に過ごしてきた愛馬「童夢」、大川さんの少しの動きや声にしっかりと応えます。
大川さんが馬術を始めたのは大学時代。国体でも活躍した馬術選手でした。小学校の教員となった大川さんが続けてきたのはポニーとふれあい、乗馬やえさやりなどを体験できるボランティア活動です。「ポニー先生」と子どもたちから呼ばれていました。
大川さんはこれまで、大きな病と闘ってきました。肝臓がんが見つかり妻・祐子さんからの生体肝移植を受けます。移植は成功しますがその2年後、急激に筋力が衰える難病、"封入体筋炎"と診断されたのです。
「馬術競技はもう出来ない」
あきらめかけていた大川さんに馬を通して知り合った仲間たちがパラ馬術への挑戦を勧めてくれました。
そのパラ馬術を初めて8年。
大川順一郎さん
「今の目標は来年の8月に開催されます、ドイツのアーヘンで開催されるんですけども、世界馬術選手権に日本代表として日本チームの一人として出場して、そこで入賞することが今の目標です」
東京、パリでのパラリンピック出場はかないませんでしたが、常に日本のトップクラスの成績をおさめてきました。
現在は鳥取県の障がい者スポーツ強化指定選手として、そして日本障がい者乗馬協会のパラ馬術強化指定選手として日々練習に励んでいます。
大川順一郎さん
「支給された日ノ丸のついたユニフォーム着て試合出たことがないんですよ。来年世界選手権の代表になれば日の丸のついた代表ユニフォームを支給されるかなと思って」
しかし、病状が進み一人では馬に乗ることが出来ません。
手足の繊細な動きで馬と一体になり、技の正確さや演技の美しさを競うパラ馬術。大川さんは障害の一番重いクラス。常歩という一番ゆっくりの速さで決められたコースを進みますがー。
蒜山ホースパークインストラクター 瀬川毅映さん
「右に馬が体重に反応してよれてしまいます」
蒜山ホースパークインストラクターの瀬川毅映さんが乗馬姿勢や馬とのコミュニケーションの取り方をチェックします。
落馬の危険もあるため、1回の練習時間は30分ほどしかありません。
大川順一郎さん
「うまく回転できないときとか体がよれるときとか一生懸命足を使うんですけど、それでも馬がまっすぐならなかったりして心のショックが大きいですね。今少しでも進行を緩める方法がないかなと考えているんですけども…」
病状が進む中、大川さんは来年の世界選手権につながる、ヨーロッパでの国際大会に出場予定です。
大川順一郎さん
「とことんやっつけられないとあきらめがつかない人間のようです。もうちょっと出来るんじゃないか、もうちょっともうちょっと、と思って続けてるんです」
大川さんは23日にヨーロッパに向け出発します。夢を持ち続けること、そして夢に向かうこと。大川さん、がんばれ!