「気づかせていきたい…」教科書に登場する“青森県” 仕掛け人がつなげていく次世代への思いとは?
世界の水資源の問題に立ち向かった青森の高校生の研究が来年度の中学校の教科書に掲載されます。
道徳の授業で使われるこの教科書を編纂した出版社と当時の高校生を取材しました。
★青森放送 長澤瑠璃子記者
「こちらの日本教科書から来年度出版される道徳の教科書に青森の話題が掲載されます いったいどんな内容なのでしょうか」
東京渋谷に本社に置く日本教科書。
こちらは来年度出版する中学3年生向けの道徳の教科書です。
なんとカラーで4ページ、1コマ分の授業で青森に関連する話題が登場します。
取り上げられているのは2020年に水問題の研究開発でジュニアの水ノーベル賞とも言われる「ストックホルム青少年水大賞」を受賞した南部町の名久井農業高校の研究です。
彼らは日本に古くから伝わる土や石灰などをたたき固めて作る「三和土」の技術を使って、乾燥地でも土壌からの水の流出を防ぐ技術を開発しました。
この技術を使うと、少ない水でも作物を育てることができます。
現在八戸の会社で働いている当時の生徒さんは・・・
★松橋大希さん
「本当に驚きました まさか私たちの研究が道徳の教科書に載るということは本当に嬉しかったです」
★宮木琢愛さん
「きっかけがやっぱり社会の授業で、貧困に困っている人たちがいるっていうのを知ったことなので」
困っている人たちを助けたいと、ひたすら研究を繰り返しました。
★松橋大希さん
「このオリジナルの(たたき)基本を作って、そこからまた派生して、条件が違うのを作る オリジナルを作るのに100個くらい練って練って考えてやっていましたね」
★宮木琢愛さん
「みんな作業服で泥だらけになって、でも最終的にはいいものが作れたので苦労したかいがあった」
なぜ今回この研究が教科書に掲載されることになったのか。
その裏側には、青森を想う仕掛け人がいました。
当時、教科書の編纂を担当していた五所川原市出身の奈良威さん。
現在の日本教科書の社長です。
★日本教科書 奈良威社長
「つねづね青森県から題材を発掘して、全国に発信しようという思いを持っていた」
教科書にはこの研究のほかも、戦時中に従軍看護婦として活動し県内の保健師の草分けとされる花田ミキさんや、幕末の思想家・吉田松陰が歩いた青森など、青森に関連する話題が登場しています。
そして2020年新聞の記事でこの研究を知り掲載へと動いたのです。
実は奈良さん自身も五所川原の農林高校の出身。
青森県の持つポテンシャルを信じ、次世代を担う高校生たちに自信を持って欲しいと願っています。
★日本教科書 奈良威社長
「文化 自然 人が織りなす郷土について、やっぱり誇りをもって未来に向かって羽ばたいていただきたい」
「青森の題材を教材にして、青森の生徒に青森にはこういういいところがたくさんあるんだよということを気づかせていきたい そう思っています」
青森から全国へそして世界へ。
青森の高校生たちと奈良社長の思いが未来へとつながっていきます。