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【危険】正規「踏切」でなく生活道路として利用“勝手踏切”の実態…県内現状は?“ 対策の難しさ”も(静岡)

2025年5月9日 17:38
【危険】正規「踏切」でなく生活道路として利用“勝手踏切”の実態…県内現状は?“ 対策の難しさ”も(静岡)

踏切ではないのに住民が線路を渡っているいわゆる「勝手踏切」。全国に1万5000か所余り確認され、死亡事故も起きています。静岡県内の現状を取材すると“対策の難しさ”が浮き彫りになってきました。

静岡県西部を走るローカル線・天竜浜名湖鉄道。磐田市の上野部駅からすぐそばの場所を訪れると…。

(西尾 拓哉 記者)
「こちらの線路ですが、踏切に関する設備は一切設置されていませんが、よく見てみると奥の路地に向かって人が渡ったような形跡もみられます」

ここはいわゆる「勝手踏切」。踏切ではないのに地元の人が“生活道路”として利用している場所です。国土交通省によりますと勝手踏切の数は去年12月時点で全国に1万5000か所余り…。広島県では2024年、「勝手踏切」を渡ろうとした高齢男性が列車と接触し死亡するなど事故も相次いでいます。

国交省によりますと県内にある「勝手踏切」の数は183か所。このうちの約100か所は天浜線です。そのうちの一つ、掛川駅と掛川市役所前駅の間にある「勝手踏切」を訪ねると…。

(西尾 拓哉 記者)
「線路の脇には、人が歩いた形跡が残されていますね。線路内立ち入り禁止と書かれた看板もたてられています」

実は、この看板、運転手から「危ない」との声が多く寄せられ、3月に設置されたもの。その効果もあってか、この日、私たちが取材した2時間で渡った人はいませんでした。ただ、近くの住民に話を聞くと…。

(「勝手踏切」近くの住民)
Q.これまでに渡ったことはありますか?
「ずっと渡っていたよ。今まではね」
Q.渡る理由はありますか?
「近いもん」「こっち(勝手踏切)の方がまっすぐで速い。みんなそうじゃないのかね」「犬を連れて散歩に行くとか。そういう人が多いんじゃない」

一方で、「もっと対策をしてほしい」という声も…。

(「勝手踏切」近くの住民)
「(以前は)もっと人通りがあったんですよ。だから通っていいのかなと思っていて。最近は看板もたって通っていないです」「踏切だけじゃないくて、ここ全部オープンなので、危ないんですよ。だから(柵などで)閉じていただきたいと思います」

しかし、「鉄道会社がとれる対策には限界がある」といいます。

(天竜浜名湖鉄道 山岡 広幸 常務)
「線路内に入れないように全ての路線で対策すれば、(住民が)入ることは少なくなると思いますが、沿線も70キロ近くとかなり長いので、全てに対して対策するのはなかなか費用面でも難しいと思います」

「勝手踏切」はどのくらい危険なのでしょうか。

まずは、天竜二俣方面から来る列車。

(西尾 拓哉 記者)
「今、電車の車両が見えてきました」

車両が確認できてから通り過ぎるまでの時間を計測します。遠くにある車両を目視してから、目の前を通り過ぎるまでにかかった時間は19秒でした。

一方、見通しの悪い掛川方面から来る列車は…。

車両が見えてから、わずか4秒で通過していきました。時速は最高80キロ。天浜線は「踏切を設置していない線路には立ち入らないでほしい」と呼びかけています。

(天竜浜名湖鉄道 山岡 広幸 常務)
「線路の上を走る列車は、高速で巨大な列車が走っているので、急に止まれない。非常に危険なところになるので、勝手に入られてしまうと、万が一はねられることもあるので、危険な場所と認識していただいて、危険な場所には入らない、つまり勝手な踏切は渡らないことをお願いしたいと思います」

「勝手踏切」のほかにも危険な踏切があります。

(天竜浜名湖鉄道 山岡 広幸 常務)
「こちらが廃止した『久保田踏切』になります」

3月に廃止されたのは浜松市浜名区にあった「久保田踏切」です。過去、「白久保田踏切」では、2022年に列車が踏切内に立ち入った男性と衝突する死亡事故が発生。ここは警報機と遮断機がない「第4種踏切」でした。これを受け、天浜線では24か所ある「第4種踏切」を全て廃止することを決定。ただ、事故から3年たっても廃止した踏切は5か所にとどまっています。その理由をたずねると…。

(天竜浜名湖鉄道 山岡 広幸 常務)
「少数であっても使われている方がいるので、その方々に多少不便になっても安全性を第一に考えて、安全性を確保するために、ほかの踏切を使っていただくということでご理解いただく、その辺りが一番苦労している点です」

「久保田踏切」の場合、近くにある踏切の塗装を新たに塗り直すなどの対策をすることで、周辺住民から廃止への理解を得られました。しかし、住民から同意を得るのは簡単ではありません。

(天竜浜名湖鉄道 山岡 広幸 常務)
「別の踏切を利用していただくことになるので、その別の踏切を、もっと安全性を高めて、例えば要望であるのは道幅を広げてほしい、踏切に遮断機や警報器をつける1種化をしてほしいなどの要望もあって、ただ、それにも非常に大きなお金がかかるので、なかなか全てそれに対応していくのは難しい状況です」

事故のリスクが高い危険な踏切ですが、鉄道会社はその対策に頭を悩ませています。

最終更新日:2025年5月9日 17:38
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