【止まらぬ高騰】「備蓄米」放出されるもコメ価格は史上最高値更新…流通実態と今後見通しは?(静岡)
備蓄米が放出される中、コメの価格高騰が止まりません。落札された備蓄米の0.3%しか小売店などに出回っていない中、現状と今後を取材しました。
「止まらないコメの価格高騰」。
22日、開店直後の静岡市内のスーパーを訪ねると…。なんと、コメ売り場の棚にはほぼ商品が無い状態に。
(田子重 西中原店 増田 克己 店長)
「ちょっと品切れが多いんですが、お客様は多く購入されています」「いつも金曜日に全種類のお米が入ってくるんですが、すぐに売れてしまうので、火曜日なんかにはこういう状態にはなってしまいます」
コメの価格高騰がさけばれる中でも、主食のコメの人気は変わりません。それでも…。
(客)
「高いですね相変わらす、めちゃくちゃ高いね」
Q.備蓄米を探している?
「(備蓄米が)あるかなと思って、どこに行っても無いから」
Q.どうして備蓄米を探している?
「少しでも安いかなと思って、1000円でも安いかなと思って」
(客)
「(価格が)高いなとは思うのが正直な気持ちではあります」「ただ、備蓄米の放出が始まっているし、流通が少し遅延しているのは聞いてはいるので、それが出てきて安定してくればうれしいなとは思ってます」
農林水産省が21日に発表した全国のスーパーでのコメの平均価格は
5キロあたり4217円。15週連続の値上がりとなり史上最高値を更新。2024年の同じ時期の2倍以上にまで跳ね上がっています。それでも、消費者はやむを得ず購入しているのが現状です。
(田子重 西中原店 増田 克己 店長)
「3月に大きな値上げがありましたが、これ以降は大きな値上げが無くて、いま高くなっているのがずっと据え置きの状態ですので、あまり高くなっている実感はないですね」
円滑な流通が期待され始まった備蓄米の放出ですが、この店では、備蓄米による変化はあったのでしょうか?
(田子重 西中原店 増田 克己 店長)
「備蓄米の報道が出てからの価格の推移とか、そういう変化はないですね」
実感できない備蓄米の放出。私たちの手元に届いていないことは数字でもあらわに。
(江藤 拓 農水相)
「(流通が)スムーズだというふうに、私として申し上げるつもりはありません。ただ、今までにはないことをやっているわけですから、全てがうまくいくということは、なかなか難しいと思います」
コメの流通は、農林水産省の調べでは初回入札分約14万トンのうち、スーパーなど私たちが手にすることができる小売店に渡ったのは461トン。備蓄米全体の約0.3%にとどまっているのです。コメの流通に詳しい専門家は…。
(日本国際学園大学 荒幡 克己 教授)
「タイムラグはあり、放出したとしても産地からトラックで運び静岡に届くまで時間がかかる。精米をして店頭に並ぶまでには時間がかかる」
物流や精米などを経て、店頭に並ぶまでに10日以上はかかるといいます。そんな備蓄米があるところも…。
ここは、企業や個人から寄付された食料を、生活に困っている人に提供する「フードバンク」の倉庫。
(フードバンクふじのくに 望月 健次 事務局長)
「こちらですね。ことしの初めに申請させていただいた、政府の備蓄米になります」
農水省は、以前から食育の一環で子ども食堂を対象に備蓄米の無償交付を行っていましたが、2025年からフードバンクにも対象を広げました。そして、今回、このフードバンクも申請して、半年で3トンの備蓄米を確保したということです。それでも…。
(フードバンクふじのくに 望月 健次 事務局長)
「政府の備蓄米のおかげで、ある程度のお米の確保はできているいる。ただ、それだけでは不足しているので、われわれも、もう少しお米をいただけるように、活動を広げていかなければいけない」
「フードバンクふじのくに」では、これまで1か月間に約1トンのコメを無償提供していますが、コメの価格高騰の波を受けた在庫不足によって、現在は提供する量を減らして対応しているということです。
そんな中、海外からの輸入米にも動きが。韓国の農産物を扱う会社は、3月、韓国産のコメを2トン輸入し販売していましたが、5月、追加で20トン輸入する予定だということです。そんな動きもある中、農水相は…。
(江藤 拓 農水相)
「コメまで安いものがあるなら、海外から買ってくるのか、国民の将来にわたる不安に寄り添うことになるのか、大いに疑問を持っている」
一方で、価格が下がっているところも…。JAなどの集荷業者と卸売業者の間で契約された3月のコメ取引価格は、8か月ぶりに下落。60キロあたり609円値下がりし2万5876円に。備蓄米放出の効果も出始めているようですが、依然、高騰しているのはなぜでしょうか。
(日本国際学園大学 荒幡 克己 教授)
「まだ足りないという感じ」「不足感が漂っているのが最大の原因で価格が下がらない」「中小業者の方はスポット市場から仕入れているため高すぎて(JP)行きわたらないというのはある」
これまで行われた2回の備蓄米入札ですが、9割以上をJA全農が落札していて、取引のある卸売業者へと流通させていました。しかし、卸売業者間での取引は認めていなかったため、ドラッグストアやスーパーなど今まで安く購入することができていた小売店には備蓄米が届きにくい状況となっているのです。これを是正するため、農林水産省は、23日から行われる3回目の備蓄米の入札から、卸売業者どうしの売買を認めるということです。
それでは一体いつ備蓄米放出の実感が得られるのでしょうか。
(日本国際学園大学 荒幡 克己 教授)
「最後に放出された10万トンがすべて店頭に並ぶのは5月のGW明けとみていい」「価格が落ち着いてきたとしても仕入れ価格が高く農家としては肥料などがコストアップしているため(JP)5キロで4000円のお米でも3300円ぐらいになるのが限界かと思う」