【ロシア侵攻3年】ウクライナからの避難者の日本での生活が長期化する中…浜松市の女性の今を取材(静岡)
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ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから24日で3年。ウクライナからの避難者の日本での生活が長期化するなか、浜松市で生活を送る女性の今を取材しました。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻。2025年2月24日、ウクライナの首都・キーウの独立広場では、ゼレンスキー大統領や各国の首脳らによる犠牲者を追悼する式典が行われました。
これまでの戦闘で、ウクライナでは、子ども650人を含む約1万2700人の民間人が死亡。また、ウクライナ軍の死者は4万6千人以上、ロシア軍の死者も9万5000人以上にのぼっています。
長引く戦闘で犠牲者が増え続ける中…、停戦交渉の“仲介役”として戦闘を終結させたい考えなのが、アメリカ・トランプ大統領。ただ、ゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」と呼ぶなど、“ロシア寄り”の発言を繰り返しています。
(アメリカ トランプ大統領の発言)
『プーチン氏とは非常に良い話し合いができたが、 ウクライナとはあまり良い話し合いが出来なかった。ウクライナは(交渉)カードを持っていないが強気だ』
21日に出演したラジオ番組では、「停戦交渉にゼレンスキー大統領が出席することは重要ではない」としたほか、「プーチン大統領が望めばウクライナ全土を占領できるだろう」などと、ロシアの戦力を誇示するかのような発言も。こうした中、ゼレンスキー大統領は。
(ウクライナ ゼレンスキー大統領の発言)
『ウクライナの平和のためなら、私は辞任する用意があります。可能ならNATO(加盟)と引き換えにしたい』
NATO=北大西洋条約機構に加盟できるのであれば、辞任もいとわないと発言。侵攻を受けたウクライナにとって、どのような”終戦のかたち”となるのかも未だ見えていません。
3年前に戦争が始まったあと、ウクライナから多くの避難民が日本へ渡りました。母国を離れ、現在も日本に避難している人は約2000人。そのうち22人が静岡の地で生活しています。
(ウクライナから避難 マルハリタさん)
「こんにちは。マルハリタです。よろしくお願いします」
浜松市に住むマルハリタさんもその一人です。25歳のマルハリタさんは、首都キーウから2022年10月に浜松へ単身で避難しました。
(ウクライナから避難 マルハリタさん)
「父は兵士です。母はボランティア。兄もキーウにいます」「私の父は一番危ないところにいる」「家族も毎日心配している」
日本への避難後は、市内にある「オイスカ開発教育専門学校」に通い、年齢が近く同じ境遇の避難者たちと日本語の勉強に励みました。
(ウクライナから避難 マルハリタさん)
「日本に来る前はウクライナでは仕事があった。今は無い。日本とウクライナの生活はとても違う、全部新しい」
当時、マルハリタさんを含めて4人の避難者が学校に通っていましたが、そのうち二人は、卒業後にウクライナへの帰国や東京への移住などで浜松を離れました。卒業という一つの節目となるタイミングで、マルハリタさんも母国へ帰国するか迷ったといいます。
(ウクライナから避難 マルハリタさん)
Q.ウクライナへ帰ろうかなという気持ちは?
「あります。でも、毎日生活が変わるので、世界中いろいろ変わっているので、どうすればいいか分かりません。私はウクライナに帰りたいけど、いつになるか分かりません」
戦争が始まってから3年。マルハリタさんが、今、一番不安に感じているというのが、「今後の日本での暮らし」について。浜松市などからの寄付金の支援が2024年で終わり、今後の生活は、これまで以上に不透明な状態です。
(ウクライナから避難 マルハリタさん)
「最初の2年、2回、浜松市から支援をもらって、日本財団からも3年間の支援をもらいましたが終わりました」「他の国で、一人で、だれもいない。仕事が亡くなったり、何かあったら、一人で頑張らないといけない」
2024年3月に学校を卒業した後は、学校から紹介された金融機関での仕事を続け、給料で、アパートの家賃や生活費を工面しながら、日本での生活を続けているといいます。
相談窓口がある、「多文化共生センター」では、外国人が交流できるイベントを定期的に開催しているほか、就労支援なども行い、避難者が長期で生活するためのサポートをしています。
(浜松市 国際課 松井 由和 課長)
「戦争が始まってから3年が経って、当初は、ここまで長引くとは思わなかったが、今もなお戦争が続いていて」「避難してから生活ができるようになって、違うフェーズに移っているかなと思います」「生活相談や就労相談など(浜松市で)生活をするうえで、必要な支援を行っている状況です」
当たり前に家族と暮らせる日常が奪われて3年。戦争が終わり、家族と再び平和な生活を送ることを願っています。
(ウクライナから避難 マルハリタさん)
「ウクライナは日本から遠いのに、みんな支援してくれて、すごくうれしくて本当に感謝しています」「忘れないでください。ウクライナ人のことと、ウクライナのことを忘れないでください。今も戦争が続いています。今は、すごく大事な所。アメリカの大統領も変わって、世界中、ウクライナのことを見ないといけない。もし、みんなが忘れたら、ウクライナは無くなります」