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苦境に立つ地方路線 運転手不足で都市間バスが運休 新たな交通手段を模索 北海道

2023年12月3日 8:00
苦境に立つ地方路線 運転手不足で都市間バスが運休 新たな交通手段を模索 北海道

ドライバーの時間外労働を規制する「2024年問題」をまえに、地方のバス路線維持が難しくなっています。

札幌と結ぶ路線が運休するなどマチに与える影響は深刻です。

この状況をどう乗り切ろうとしているのか、地方のバス路線の現状を取材しました。

退職者相次ぎ運休…深刻な運転手不足

帯広からおよそ80キロ・十勝の広尾町です。

(岡本記者)「今、帯広から広尾のバス停に十勝バスの路線バスがやってきました。平日は午前8時台に3本の便が走っているのですが、利用者はほとんどいないのが現状です」

人口およそ6000人の広尾町内では、JR帯広駅行きと日高の様似町を結ぶ主に2つのバス路線があります。

これまでは札幌とを結ぶ都市間バスが1日1往復走っていましたが、今月から当面の間運休になりました。

理由は「運転手不足」。

運行を担当していたジェイ・アール北海道バスの様似町の営業所で4か月間で4人が退職しました。

1日あたりの乗車人数はおよそ13人。

バス会社では「札幌圏から応援の運転手を出していたが追いつかなかった」と話しています。

(広尾町民)「何回か利用していますが、列車がないので。札幌に行きたい時は不便に感じるね。(車は)雪があると不便で危ないので、やはりバスを利用した方が安全かなと思います」

札幌とを結ぶ都市間バスの所要時間は片道およそ4時間半。

しかし、今月から札幌に出るためには帯広に出て特急列車などに乗り換える必要があります。

乗り換え時間を除いても所要時間は5時間以上。

運賃も倍近くかかります。

国鉄・広尾線の廃止以降、広尾町内の交通手段は列車からバス、そして車へと変わっていきました。

(広尾町 村瀨優町長)「中心都市と直接結ばれていることは、まちづくりとしても1つの優位性のあることだったものですから、残念かなと思っていまして、1日も早く復活してほしいなと思います」

マチでは札幌直行バスに代わる新たな交通手段を見出せていないのが現状です。


地方のバス路線維持が困難に

帯広ー広尾間の路線バスを運行している十勝バスです。

このバス会社でも運転手不足が問題となっています。

(十勝バス総務・人事チーム 本間雅崇次長)「2020年から採用も一旦ストップしていた。退職者が相当数でて、そこでなかなか追いつかないという、新入社員が追いつかないという状況が続いていますね」

この会社にいる運転手は現在およそ120人。

5年前と比べて20人減りました。

そのため今年に入り5つの路線を廃止。

およそ50便を減らしました。


運転手の高齢化で若手積極採用

そして積極的に行っている1つが、若手運転手の採用です。

最年少運転手の福原諒真さん24歳。入社5年目です。

(十勝バス 福原諒真さん)「高校生の時に毎日バスで通学していて、毎日バスの運転手のことを見ていたら“運転手格好いいな”と思って、その道に決めました」

社内では数少ない20代の運転手です。

(十勝バス 福原諒真さん)「同年代は20代2人しかいないので、同年代がいればもっと楽しく仕事ができます」

運転手の平均年齢はおよそ56歳。

会社は積極的な採用を続けていますが、いまも8人ほど運転手が足りていないといいます。

3年前からハンドルを握るようになった福原さん。

主に担当しているのが、帯広市内を走る路線です。

帯広市内は比較的道幅が広く走りやすい路線が多いものの、多くの客を乗せるため緊張が続くといいます。

最近では帯広と札幌を結ぶ「都市間バス」の運転も始めた福原さん。

しかし、日によっては午前6時半に出社し、休憩をとりながら午後9時まで勤務することもあるといいます。

(十勝バス 福原諒真さん)「辛いことも楽しいことも両方ある。お客様から降りる時に“ありがとうございました”など感謝の言葉などが一番うれしくてやりがいに感じています」

地方のバス会社で深刻化する運転手不足。

「沿岸バス」では今月から都市間バスの運賃をおよそ15%値上げに。

また「くしろバス」では10月からおよそ40便を減らすなど、路線の見直しが相次いでいます。


「早番遅番を一人通しで…」運転手と事務を兼務

人口6500人の夕張市です。

主な公共交通機関は市内を1日10往復する路線バス。

「夕鉄バス」が運行を担っています。

しかし「夕鉄バス」も10月から札幌への直行バスなど3路線を廃止しました。

利用者の減少と慢性的な運転手不足が理由です。

今、札幌に行くためには1日3往復の北海道中央バス「高速ゆうばり号」やー

JR新夕張駅までバスで移動したあと特急列車などに乗り換える必要があります。

(夕張市民)「車がないとバスを利用するしかないので、バスがないというのはすごい大変」

普段は社内で事務を担当している塚本悟志さんです。

しかし、運転手が足りない場合はハンドルを握ることもあると言います。

(夕鉄バス管理課 塚本悟志さん)「早番・遅番を一人通しでやったりとか、本来事務職員である者が運転免許を持っているので。それで運転業務に当たるような形で場をしのいでいるのが現状です」

10年前52人にいた運転手は現在27人。

路線を維持するためには14人が足りない状況です。

(夕鉄バス管理課 塚本悟志さん)「私どもはほとんどの学校関係の仕事をいただいているのが現状。例えば修学旅行や遠足、冬になりましたらスキー学習とかの仕事が入ってくる。その対応でまた運転手が必要になってしまうのが現状です」


予約に応じて運行「デマンド交通」

そこで夕張市は路線バスの代わりとして、主に山間部で新たな交通体系「デマンド交通」の運行をスタートしました。

利用者の予約に応じて運行します。

さらに、10月からは夕張市外と近隣のマチを結ぶデマンド交通の実証実験も始まりました。

デマンド交通はタクシー会社に運行を委託。

病院などがある栗山町や長沼町まで1日4往復します。

片道の料金は1人600円で利用できます。

(デマンド交通の利用者)「札幌に行くよりはありがたいです」

(デマンド交通の利用者)「夕張の診療所には眼科がないので、眼科にここまで来ています。年寄りにはなくてはならない存在だと思っています」

さらに、デマンド交通を利用すると、栗山町や長沼町でバスに乗り換えて札幌に向かうことも可能になるといいます。

(夕張市地域振興課 菊田大介課長)「“公共交通のコンパクト化”これが重要であると考えていて、例えば利用者数に合わせた車両での運行だったりとか運行ダイヤの見直しだったりとか。少しでも効率的な運行となるよう検討していかなければならないなと考えております」

運転手不足で廃止や減便が相次ぐ地方のバス路線。

新たな交通手段をいかに生み出すのか模索が続いています。

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