難航するトンネル工事 札幌延伸延期…まちづくりへの影響は?JR北海道にも打撃 北海道新幹線
札幌駅の東側には、創成川をまたぐ形で新幹線の駅、さらにバスターミナルも入る新たな複合商業ビルが建設され、各地を結ぶ交通ネットワークの中心になります。
開業時期の遅れはまちづくりへの影響が大きいと、これまで秋元市長は懸念を示してきました。
(秋元市長)「民間の投資も非常に大きくなっていくので、その目標値として新幹線が開業する前にいろいろなものを完成していこうといままで動いていることは事実。その時期が変更ということになれば影響が少なからずあるかもしれないと危惧している」
後志の倶知安町でも建設工事が進められています。
札幌までは在来線で2時間かかるところを、新幹線が走ればわずか25分。
新幹線駅はいまの駅の場所につくられ、さらに駅前広場や交流施設も整備されます。
開業の遅れにより、計画の変更を余儀なくされるといいます。
(倶知安町まちづくり新幹線課 桜井昌之課長)「今後またスケジュールの調整や変更など、開業時期がしっかりと示された後に考え直さなければならない状況になっている。マチ自体も新幹線が来ることによって、住民の生活や店など暮らしが大きく変わりますので、延びたということはまさに残念なこと」
交通ネットワークという部分では、新幹線札幌駅を中心として、道内各地を結ぶという構想でしたが、それが遅れることに対してどのような影響がでるのでしょうか。
(北大大学院工学研究院・有識者会議メンバー 岸邦宏教授)「数年前のJR北海道の路線存廃問題を経て、北海道全体のネットワークを作っていこうということで、道庁を中心に取り組みが進められているが、いつを完成の目標にするかは並行在来線の問題や貨物鉄道をどうするかということも含めて、まずはそこの部分の議論を、もしかしたら見直さなければいけなくなるという影響はあるかもしれない」
道の試算では、開業後10年間でおよそ2兆6000億円の経済効果があるとする一方、事業費は当初の計画から6450億円増えて、2兆3150億円に膨れ上がりました。
開業延期で、さらに費用負担が増える可能性もあるのでしょうか。
(北大大学院工学研究院・有識者会議メンバー 岸邦宏教授)「いまやっている需要推計にはインバウンドが含まれていない。なので事業費の見直しも必要だが、本当に新幹線による効果を改めて見直すことも必要だと思う」
開業延期で大きな打撃を受けるのが、JR北海道です。
開業後の2031年度に経営自立を目指していましたが、見直しが必要でしょうか。
(北大大学院工学研究院・有識者会議メンバー 岸邦宏教授)「経営の自立は、道民にとっては持続可能な鉄道ネットワークが維持されることだと思う。たとえばいま、北海道各地で鉄道の利用促進やこれから費用負担の議論が始まってくると思うが、そこの部分が止まってしまうことはあってはならなくて、われわれができることは引き続きやっていかなければいけないというところが大事だと思う」
新幹線がない空白期間のマチづくりをどう進めていくか、今後は考えていく必要があります。