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【裁判詳報最終報】北海道“スナックママ殺人”懲役22年求刑 被害者の息子と娘も出廷、号泣

2024年12月11日 17:54
【裁判詳報最終報】北海道“スナックママ殺人”懲役22年求刑 被害者の息子と娘も出廷、号泣

北海道・十勝の足寄町で、知人の飲食店経営・延本真弓さん(66)を殺害した罪に問われている志渡典吉被告(59)に対する3日目の裁判員裁判が、2024年12月11日に開かれました。

◆殺人と死体遺棄
志渡被告は2023年11月10日、延本さんの自宅で頭をハンマーで20回以上殴ったり、首を絞めて殺害したうえ、遺体を延本さんの車に乗せ、山林に遺棄したとされています。

遺体は左足の骨の一部と爪のほかはほとんどが見つからず、クマやキツネなど野生動物が持ち去った可能性があるとみられています。

◆窃盗・窃盗未遂・詐欺
さらに志渡被告は、遺棄現場から車で戻る道中で、延本さんの財布からクレジットカードなど3点を盗み、ATМで現金を引き出そうとしたり、ドラッグストアで薬をだまし取るなどの罪にも問われています。

◆遺族の意見陳述
この日は、延本さんの息子と娘が「かけがえのない存在だった母に会いたい。母がどんなに苦しかったと思うと涙が止まりません」「遺体がきれいな状態であれば、納得はできなくても受け入れられたかもしれない。(被告が)自閉スペクトラムでも許されるわけがない。望んでいるのは死刑。かなわないなら一生刑務所で事件と向き合ってほしい」と号泣しながら意見を述べました。

その間、志渡被告は2人にほとんど視線を向けず、下を向いたまま時々目をつぶって聞いていました。

◆求刑
この後、検察は志渡被告が馬乗りになって、頭を押さえながら20回以上ハンマーで殴ったり、首を絞めた犯行を「執拗で残忍」と指摘。

犯行後にハンマーを洗い、殺人を隠すために遺体を遺棄したなどとして、懲役22年を求刑しました。

◆最終弁論
一方の弁護側は、事実は争わないが計画性はなく、遺棄現場などを自白するなど事件の解明に協力した。

責任能力はあるとしながら、軽度な自閉スペクトラムの影響で相手を思いやれず、犯行を思いとどまりにくかったなどとして寛大な判決を求めました。

◆被告の言葉
最後に裁判長から言いたいことを聞かれた志渡被告は「(被告人質問で)一方的に検察から主張され、納得がいかなく、(捜査段階の)調書の内容が加算されたと思った。違うところが数か所あった。第3者が書き加えたと感じた。殺したことは否定しない。最初に(法廷に)入った時、遺族に謝罪し土下座しようと思ったが、刑を軽くしようとしていると思われるし、法廷でしていいのかと思いやめた」と話しましたが、遺族への謝罪はありませんでした。

◆事件の経緯
2023年11月10日午前11時半ごろ、スナックを経営する延本真弓さん(66)の自宅寝室で、延本さんの頭をハンマーで殴ったうえ、首を手で絞めて殺害。

延本さんの車で遺体を約35キロ離れた足寄町内の山林に遺棄。

帰りの道中に延本さんの財布から現金やクレジットカードなどを盗み、車を延本さん宅に戻しパチンコに興じる。

同年11月11日、延本さんの家族が連絡が取れないと警察に相談。

同年11月13日、盗んだキャッシュカードで現金を引き出そうとするが取引停止中で引き出せず。

盗んだクレジットカードを使い、ドラッグストアでせき止め薬など6点をだまし取る。

同年12月18日、警察の事情聴取に志渡被告が自白。

遺体を遺棄した山林に案内し、延本さんの血が付いたベッドの敷パッドが発見され逮捕。

その後、周辺の川などから左足の骨の一部と爪を発見し、延本さんと確認。

◆裁判でのやり取り
親しい知人だった被告は車を借りるため、寝ている被害者の自宅寝室にあがりこみ、ベッドで腕枕しながら燃料代も借りようと頼む。

「嫌だ」と断られるが、ハローワークに行くためで、仕事で本州に行くかもしれないと何回も頼むと、「しつこい」などと被害者が護身用に枕元に置いていたハンマーを振り回し、被告は頭に当たったと主張。

ハンマーを取り上げ「痛いよ。謝って」と言うが被害者は受け入れず、口論になって馬乗りになってビンタ。

さらに口論になり、何度もハンマーで殴ったり、首を絞めたと認める。

一方で、殴った詳細な部分や動機などについて「覚えていない」を連発したため、検察側が捜査段階の詳細な供述調書や再現写真を何度も示しながら質問すると、いら立ち「違うじゃないか。でっち上げ」と不満を言い、裁判長から「落ち着いて。深呼吸しましょう」といさめられました。

遺体の遺棄やクレジットカードなどを盗んで使った理由については、「最初は使うつもりはなかった。使うと足がついて結果的に捕まり遺体も早く見つかると思った」「申し訳なかったとは思う」と証言。

検察は、被告が財布から抜き取った現金でその日にパチンコに興じたと指摘したうえで、「申し訳ないと思う人が金を使うのか。1か月も遺体が見つからなかったのはなぜ?」と質問すると、被告は「知るかよ。警察は何をやっていたんだ」と激高。

◆判決
12月13日に言い渡される予定。

最終更新日:2024年12月11日 17:54
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