岐路に立つ“へき地医療”をどう守る 人口減少で厳しさを増す運営 県「新潟モデル作りたい」《新潟》
県立病院の経営の立て直しをめぐる課題のひとつがへき地医療のあり方です。人口減少にともない経営が厳しさを増す中、診療体制をどう維持していくのか。模索が始まっています。
この日、待合室で患者が途切れることはありませんでした。
阿賀町が運営する鹿瀬診療所です。
平日の午前中は内科の常勤の医師がいますが、整形外科と小児科は決まった診療日のみ医師が派遣されます。
この日は週に1度の整形外科の診療日。
医師「いまどこが一番痛いの」
患者「腰です」
健康に不安を抱える住民のよりどころです。
〈80代 患者〉
「紹介状がないと津川の県立(病院)はダメだと言われて仕方なしに。遠くへ行くとなると足がないですからね」
佐渡より広い面積を有する阿賀町。人口は1万人足らずで約5割が65歳以上の高齢者です。
県立津川病院があるものの、移動手段の問題などから通院できない人も少なくありません。
鹿瀬診療所を含め、町内には4つの診療所あり、住民の暮らしを支えています。
鹿瀬診療所で週に1度の整形外科。
この日派遣されたのは新潟臨港病院の理事長・湊泉医師です。
〈鹿瀬診療所へ派遣 湊泉医師〉
「病院の使命でもあるのですが、来てみると患者さんに喜んでもらえる姿を見ると(派遣の負担も)これぐらいはいいのかなと」
医師と共に診療放射線技師や理学療法士も派遣され、リハビリなどを担当します。
〈80代 男性〉
「ここだと車でも近いからすぐ来て診てもらえるし。ここから郡外だとなかなか。我々も年だし下手に事故しても困るから、近い所でいい先生が来てくれるからありがたい」
医療を必要とする人がいる一方、診療体制をどう維持していくのか課題に直面しています。
〈鹿瀬診療所へ派遣 湊泉医師〉
「経営的には厳しいでしょうし、人口減少で患者も少なくなっていけばやるべきかどうかは難しいところですよね」
こうした中、県は8月からへき地医療を担う県立病院のあり方をめぐって勉強会を開いています。
人口減少による患者の減少や医師の確保の問題。へき地医療を取り巻く環境は一層深刻になると考えられています。
18日、県が開いた県立病院の経営委員会。
へき地にある柿崎、妙高、松代、津川の4つの病院について縮小も含めて機能や規模を適正化する方針が示されました。
〈県病院局 金井健一局長〉
「180度とは言いませんけど、かなり角度を変えて検討していかないといけないと 思うし、へき地の医療については勉強し、新潟モデル的なものを作っていきたいなと」
県病院局はデジタル技術や民間のノウハウも活用しながらへき地医療の“新潟モデル”を目指すとしています。