【特集】落書きの代償 国の重要文化財“萬代橋”に落書き “アート”と“落書き”の違いとは 消す作業費用は約400万円⦅新潟》

ことし4月、萬代橋に落書きをした疑いなどで逮捕された19歳の男2人。このうち1人は「アートに興味があった」などと話しています。
彼らが真似したかった「アート」と「落書き」の違いは何なのか?そして、その落書きがもたらす代償を取材しました。
長年にわたり新潟市のシンボルとして愛され続ける萬代橋。2004年には国の重要文化財にも指定されました。
しかし、市民が大切に守ってきたものが傷つけられたのです。
事件が発覚したのはことし3月。
<記者リポート>
「この萬代橋、およそ100年に わたりこの場所を見守ってきた大切な橋ですが、あちらご覧ください真っ赤な、そして大きな字で落書きされてしまっています」
赤や白のスプレーのようなもので描かれた落書きが発見されたのです。
大きさは縦1メートル、横4メートルにも及び、このほか欄干にも3か所、見つかっています。
さらに同時期には千歳大橋や柳都大橋、関屋や古町などの周辺地区にも被害は広がり、警察が捜査を進めていました。
ことし4月、逮捕されたのは、2人の男でした。
警察によりますと国の重要文化財・萬代橋に落書きをした文化財保護法違反などの疑いや古町地区のビルに落書きをした建造物損壊の疑いがもたれています。
2人は神奈川県に住む19歳の無職の男と専門学校生の男で免許合宿で市内に滞在中だったということです。
調べに対し、いずれも容疑を認めていて、1人は「以前からアートに興味があった」という趣旨の供述をしているということです。
彼らが真似したかった“アート”とは……県内のデザイナーを訪ねました。
ロゴや映像の制作を行いながら子どもたちにアートについて教えているビジュアルデザイナーの吉樂蕗(よしらく ふき)さんです。
10代のころ壁などに文字や絵を描くグラフィティアートに魅了され本場のアメリカを訪れました。
現在は持ち主から依頼を受けて壁やシャッターに絵をかく制作活動も行っています。
そんな吉樂さんに、萬代橋に描かれた落書きを見てもらうと……
【ビジュアルデザイナー 吉樂蕗さん】
「グラフィティってこんな汚いものじゃないです……読めるものでもないですしスプレーの使い方もできてないですし」
吉樂さんによるとグラフィティアートは元々アメリカで若者たちが社会への不満や自らの存在を証明する手段として電車や壁に自分の名前を描き始めたのが始まりで読み取れなければ意味を成さないといいます。