【特集】自動車事故で寝たきりになった息子を介護する72歳の母親 子を想う母と「事故のない社会」目指す団体の取り組み《新潟》

17年前の自動車事故で重度の後遺症を負い、寝たきりの状態になったひとりの男性。日々の介護を行うのは72歳の母親です。
「少しでも良くなってほしいから」
息子を想う母親と被害者家族を支えながら「事故のない社会」を目指す団体を取材しました。
自動車事故で寝たきりに……息子の介護を行う72歳の母
新潟県胎内市にも雪解けの季節が訪れました。
〈布川栄子さん〉
「風の音聞こえる?きょうは風強いよ」
布川栄子さん、72歳です。
〈栄子さん〉
「目つぶってもできます、1日何回もですもん。おむつ変えて、体の向き変えて体位交換して、それからご飯を入れます」
ベッドに横になっているのは息子の学さん、45歳。
〈栄子さん〉
「今日の調子どうですか?まあまあだったら親指で合図。まあまあだ、 よかった」
「親指」を使って自分の意思を栄子さんに伝える学さん……話すこと、体の他の部分を動かすことはできません。
〈栄子さん〉
「平成20年だった、事故に遭ったのは。受け入れられないというか……信じられないというよりも、受け入れたくない」
大型トラックと衝突した運転中の息子 医師から告げられた「苦しい言葉」
2008年6月1日。星がきれいに見える夜でした。
午後10時すぎに友人の家から帰る道を自動車で走っていた学さん。
国道7号を直進していた大型トラックと衝突し、意識不明の状態で病院に搬送されました。
〈栄子さん〉
「血だらけになってるわけでもないし、普通の状態でいた。『すぐ手術しないと』って、先生が大急ぎで手術してくれて」
事故の衝撃で「脳挫傷」と「肺挫傷」を起こしていた学さん。
長時間にわたる手術の末、何とか一命を取り留めましたが……家族に告げられたのはつらく、苦しい言葉でした。
〈栄子さん〉
「ICU(集中治療室)に45日もいて、毎日『脳死』か『死』って。それを言われ続けたんです。私は悪いことを聞きたくない、もう聞きたくないんですよ」