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特集「霊峰 御嶽と生きる」④山小屋を復活 名物は「担々麺」 二の池ヒュッテ 今も残る「噴火の部屋」 災害は忘れない 繋いでいく…女性オーナーの思い 

2024年9月27日 13:03
特集「霊峰 御嶽と生きる」④山小屋を復活 名物は「担々麺」 二の池ヒュッテ 今も残る「噴火の部屋」 災害は忘れない 繋いでいく…女性オーナーの思い 

シリーズ「霊峰 御嶽と生きる」④。

噴火で潰れかけた山小屋を4年後に復活させた女性オーナーがいます。噴火当時を知らない跡継ぎの6年間の奮闘記です。

標高3067メートル、御嶽山、頂上。そこから見える、行列のできる山小屋。

登山者
「普通の下の店でも出せるくらいおいしいってレビューを見たので楽しみで」

「担々麺」が名物の山小屋、二の池ヒュッテです。オーナーの高岡ゆりさん。御嶽山を支える裏方の1人です。

「この絵面だけ見ると、本当、ラーメン屋さんみたいでしょ」

東京生まれ、千葉育ち。30代から始めた登山で、山が好きになりました。

山小屋は、噴火以降、ほぼ手つかずのまま休業状態が続いていました。噴火から4年後、経営を断念した前のオーナーが後継者を募集。19年間の会社勤めを経て当時、奥秩父の山小屋で働いていた高岡さんが手を上げました。

高岡さん当時
「人の出入りがないと痛み激しいですよね、2年、3年、4年、そのまま放っておいたらやっぱり営業再開するのが不可能な状態になっていくと思うので、ある意味そういう意味では4年目ってぎりぎりだったんじゃないかなと思っています」

跡を継いで以降、立て直しに奔走してきた高岡さん。目指すのは登山者との触れ合いを大切にした温かい山小屋です。

途中、コロナ禍も経験。休業する山小屋も多い中、2022年にはオリジナルの漆器を作るなど、独自のアイデアでリピーターを伸ばしてきました。

登山者
「きょうは運んでいただけるんだ」
高岡さん
「人の少ない時はね、運ぶんです」

月1回のヘリの荷揚げ。足りないものは自力で運びます。2、30キロの荷物を背負って上ることもしばしば。

御嶽山にある山小屋は全部で6つ。道中、ほかの小屋にも顔を出します。

高岡さん
「よいしょ、お疲れ様です!」

石室山荘・向井修一さん
「てんこ盛りしょって」
「雷遠い?」
「ロープウェイは止まった」

山の天気や、登山者の様子。山岳遭難を防ぐための情報交換です。

石室山荘・向井さん
「気を付けて」

御嶽山の噴火当時を知らない高岡さん。

仲間として受け入れてもらえるのか、不安もあっといいますが…。

9合目・石室山荘向井修一さん
「今ヒュッテとしておかみさんとして頑張っている姿はとてもたくましいかと思います。(黒沢口の)小屋が1つ減るとか、頂上も噴火で2つ減るとか、その中では頑張って設備投資もしたり、名物も作ったりしてやっているので、それは御嶽山全体にとってはいいことだとは思います」

二ノ池山荘 小寺祐介さん
「高岡さんが手を上げてくださって、小屋に命を吹き込んでくださっているということは、おやまの繁栄、全体的な明るさにつながっているんじゃないかなと感じています。火山灰で埋まってしまいましたけど、同じ釜の飯を食うじゃないですけど、同じ水源地で水を分け合ってやっておりましたので、御嶽の小屋同士は比較的他の山域に比べたら仲はいいんじゃないかなと思います」

常駐スタッフは高岡さんを入れて3人。中には高岡さんに惹かれて仲間になった人も。

客から従業員に粟津千慧さん
「すごいあったかい空気感。ガスっててすごい寒かったんですけど、なんか気持ちはすごいあったかかったなって思っています。一緒に生活していく中で関係性が濃密、家族みたいな、実際の家じゃないけど、お母さん、やさしさと厳しさのあるお母さん。」

7年目の今年は、2階をリニューアル。

高岡さん
「この形になってから掃除は大変、今年造ったのでお客さんには好評」

毎年、何か1つは、新しいことを取り入れています。あの「担々麺」も山を盛り上げるために生み出した新たな名物。

従業員の粟津さん
「担々麺お待ちのお客様、お待たせいたしました。」

6年前から改良を重ねたこだわりの味です。今では担々麺目当ての登山者も増えました。

登山者
「う~ん、すんごい!」
「うん!!!」
「どこの山行っても、そこで食べるご飯どこでもおいしいんですけど、1位です、ナンバーワンです!ナンバーワンですね!」

新しい風を吹き入れる一方で、噴火災害への思いも大切に考えています。

従業員 澤田義幸さん
「ここが当時、2014年の9月27日。噴石が落ちてきて、屋根が落ちて、床を突き破って」

噴火口からおよそ1キロの距離。当時の姿を今も登山者たちに伝えています。

高岡さん
「噴火のお部屋を残していることもそうですけれども、その当時のこと、澤田さんがお話してくださいますけど、やっぱり当時のことを知っている方にお話ししていただいて、改めて噴火したことのある山に来ているんだ、今でも活火山であることを登っている方に考えてもらえるきっかけをつくることにはなると思うので、あの部屋はそのまま残しますし、私自身はここに入ってきた時点でこの小屋をいい状態にして後世に引き継ぐというのが元々の思いなんですね。山小屋は世襲が多い中、まったくの関連のない人が入ってきてっていうのは珍しいことであると思うんですよ、でも私はここを素敵な場所だと思っている方に引き継いでいきたいなと思ってこれからもいい状態を作っていけたらと思います」

今年の営業は、10月13日まで。

二の池ヒュッテはこれからも登山者を見守り続けます。

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