【高校生活がマンガに】不登校を経験した18歳 高校生活で学んだこと
特集は、自分の高校生活が漫画になった18歳です。かつて不登校を経験し、3月、県立杜陵高校通信制を卒業した水野花梨さん。彼女が高校生活で学んだことを取材しました。
「将来(みらい)への歩みを止めない」、実話をもとにしたオリジナル漫画です。モデルは、中学校の時、不登校を経験した水野花梨さん18歳。
水野さん
「人と接するのが、あまり楽しいと思えなくなってしまって、学校に行っていなかったんですけど」
進学した通信制高校で、何事にも積極的になった姿が漫画になりました。
水野花梨さん(18)
「(漫画になったのが)信じられなくて、本当に。『いいんですか?』という感じでびっくりした。結構、自分で『変われるんだな』とすごく感じた3年間だった」
盛岡市にある杜陵高校。水野さんが通っていた通信制は、普段は自宅で勉強し、週1回、スクーリングの日に通学して、クラスで授業を受けます。
コミュニケーションが苦手で、中学生のときは、朝おなかが痛くなり、学校に行けなくなりました。
水野さん
「なぜ学校に行けないのか、なぜ(話す時に)緊張してしまうのかとか思い、不安だった」
高校ですべてが変わりました。こちらは、生徒が取り組む校内カフェ。
「このお湯入れてポットを温めて」
通信制でコミュニケーションの不安がなくなって気持ちが前向きになり、ボランティア活動などにも熱心に取り組むようになりました。
「とても楽しい。皆で取り組んでいて」「とりょんカフェで~す」
オートバイの免許を取り、ツーリングを楽しむのが趣味。資格の取得など、学校の外でも積極的です。
「(バイクは)風がバーって浴びる感じが楽しいというか心地いい」
通信制の生徒会長もつとめた水野さん。東北地区の定時制・通信制の生徒が交流するイベントでは、「MVP」に選ばれたほか、岩手の代表として高校での自分の体験を全国大会で発表してきました。
不登校のつらい経験を経て、「誰かの役に立ちたい」と考えるようになりました。
水野花梨さん
「人と話すことが今は楽しいと思っている。前はあまり得意じゃなかったが、すごく楽しい。(杜陵高校)入学前は考えられなかった。こうして人と話せるというのは」
ことし2月。生徒たちの活動を学校関係者に報告する会が開かれました。水野さんの発表の後、学校側から漫画ができたことがサプライズで伝えられました。
「ありがとうございました。水野さんちょっと、このまま前に残ってください」
三田正巳校長(当時)
「彼女が今話したようなストーリーを、漫画にしました。(おー!)知っている漫画家に頼んで作ってもらったので」
漫画は、水野さんのことを多くの人に知ってもらいたいと、校長先生が奥州市在住の漫画家・あおかえでさんに依頼して作成しました。
タイトルは、東京で発表したスピーチから取ったもの。気持ちが追い詰められ、不登校を経験した中学校時代。生き生きと毎日を過ごせるようになった高校時代。3年の変化がそのまま描かれています。
水野さん
「(漫画になって)今まで生きてきた中で一番びっくりした」
迎えた卒業式。
通信制の答辞・水野さん
「私たちは、それぞれの夢や目標に向かって、新たな一歩を踏み出します」
4月からは盛岡の自宅で暮らしながら、北海道の通信制大学に進学します。
母親の洋子さん(49)
「本当に、杜陵高校に通えたことが一番の幸せだったのではないかと思う。ありがとうございます」
人と話し、関わることの楽しさを教えてくれた高校生活。将来の目標もできました。
水野さん
「高校の教員免許を取る予定なので、やっぱり人と関わることを考えながら生きていきたい。すごくいろんな人に支えられてきたので、その優しさを社会に返してあげられるような大人になりたいと思っている」
自分でも驚くほど変化した杜陵高校通信制での高校生活。
大学生になった水野さんは、将来(みらい)へと歩み続けます。
水野さんをモデルにした漫画は、県立杜陵高校のホームページから見ることができます。