新庄まつり山車の人形の安定供給体制づくりを市が支援へ 人形師と一時連絡とれなくなった事態受け
ユネスコの無形文化遺産に登録されている「新庄まつり」でことし、山車の人形制作を唯一手掛ける人形師と連絡が取れなくなり、人形の確保が危ぶまれる事態となりました。この問題をめぐって11日、新庄市の山科朝則市長は人形の安定的な供給体制の構築に向け、市として支援する考えを示しました。
毎年、8月下旬に開かれる「新庄まつり」はユネスコの無形文化遺産にも登録されている伝統の祭りで、市街地を練り歩く豪華絢爛な山車行列を目当てに多くの観光客が訪れます。
その新庄まつりはことし、130年以上山車の人形制作を唯一手掛けている人形師一家の当主を務める40代男性がまつりが目前に迫った8月上旬から連絡が取れなくなり、一時、人形の確保が危ぶまれる事態となりました。
新庄山車連盟の説明によりますと、まつりでは毎年、各町内会ごとに組織する合わせて20の「若連」が山車を制作していて、山車に載せる人形はそれぞれの若連が個別に借り受ける契約を人形師と結んでいます。連絡が取れなくなったことを受け、若連では当初、他県の人形師に依頼することも検討しましたが、価格や質の問題から断念したということです。その後、人形師の家族や山車を常設展示している市内の観光施設から人形およそ100体を借り受け、まつり本番に間に合わせました。
こうした事態について、新庄市議会では、議員から市としての今後の対応を問う声が上がりました。
佐藤悦子市議会議員「今後において祭りが持続できるよう人形の確保のため人形師の育成、安定的な供給体制づくり、若連の負担軽減などについて見解を伺います」
山科朝則市長「基本的に新庄まつりの人形の確保については山車若連と人形師との契約によって進められてきた。今後は、金銭的な支援のみならず若連の負担軽減につながる手法について検討し、人形の安定的な供給体制をつくる支援とともに、新庄まつりの実行委員会や山車連盟の考え方を尊重しながら新庄まつりの伝統を絶やすことなく後世に引き継いでいくための体制づくりを支援していく」
山科市長は「人形の確保は山車若連と人形師との間での問題」としつつ、まつりの継承に向け、市としても人形の安定的な供給体制の構築などで支援していく考えを示しました。
一方、山車連盟によりますと、10月下旬、連盟の担当者に人形師本人から連絡があり、11月11日に開かれた連盟の理事会に出席。人形師は「大変申し訳なかった。一からやり直すつもりで信頼を回復できるよう頑張りたい」と話し、若連は来年もこれまで通り人形師から人形を借りる方針を確認しました。
関係者によりますと、人形師は「ことしの6月ごろから体調不良があり、連絡を取れない状況だった」と説明しているということです。新庄山車連盟の横山哲哉会長はYBCの取材に「心を入れ替えて励むと言った人形師の言葉を信じるしかない。今後は頑張ってもらいたい」とコメントしています。
連盟では人形師に対し、再発防止策として助手を雇ったり後継者を育成したりするよう求めたということです。また、新庄まつりと同じく、この人形師から人形を借り受け毎年8月に開催している「金山まつり」についても、人形師が一連の事態を陳謝したということです。「金山まつり」では来年も同じ人形師から人形を借りることにしています。