【ナゼ?】日本との待遇に差…“トランプ関税”巡るアメリカと各国との交渉” 歓迎ムードで『好待遇』だったイタリア 両国の“差”と“共通点”とは?そして、イタリアの振る舞いから学ぶべき交渉術とは―?
日本側もとても悩んだそうですが、日本は担当者である赤沢亮正経済再生担当大臣が先に会談しました。一方、イタリアは最初から首相が行くという選択をしました。日本側が赤沢経済再生相に先に行ってもらったのは『最初から最高責任者が行くと、いきなりひざ詰めで数値目標など言われてしまうと危ない、本当にアメリカが他の関税もやめてくれるかどうかは分からないので、まず担当から行きましょう』というのが日本流だからです。
ところが、イタリアはメローニ首相が主要閣僚も全員連れて乗り込んだので、アメリカからすると、最初から全力で来てくれているとなる。それは好感度が高いです。ほとんどプロモーションビデオのようなあの映像が撮れたのも、たくさんのカメラが待っていたことになりますから、話をする前から歓迎ムードなんです。
次に、イタリア側が公開している写真ですが、大統領とマンツーマンの話が終わった後の全体会合の写真です。これは日本もやっていますが、イタリアの写真はランチのお皿が並んでいます。日本の会合の時は実務者でしたが、イタリア側はフルメンバーに近いので、アメリカ側も大統領・バンス副大統領などオールスターキャストで来ています。
そうなると、ものすごく話を詰められたのではないかと思われますが、実はほとんど詰めた話がなかったと言われていて、トランプ大統領はSNSで「ごく簡単に貿易の話をしただけだ」と言っています。イタリア側は、根本的にアメリカと“闘うものが一緒”だということを今回の関税問題が起きる前からずっと言ってきたんです。
アメリカが今回、中国・メキシコ・カナダに対して厳しい対策に出ている『合成麻薬フェンタニル』という、アメリカを揺るがす麻薬なんですが、実はこれはイタリアでも問題になっていて、メローニ政権もこれと戦っています。
それから不法移民の問題は、単なる不法移民というよりも、移民の人たちがギャング化するということも、同じ課題です。
そして多様性の問題です。日本の場合は、“みんな色んな人生があるんだから受け入れよう”となっていますが、イタリアもアメリカも「ちょっとやりすぎだ」となっているので、これをトランプ大統領の前で言うと馬が合うわけです。