【独自解説】ホテルの「ご自由に」アメニティー、何個までなら「ご自由」なの?まさかの罪に問われることも…『ボンタン湯』のボンタン、その場で食べたら何の罪?ホテルや旅館にまつわる気になるギモンの数々を法律のプロが解説

国内外問わず、多くの観光客に人気の温泉。しかし、癒されに来ているはずの温泉地で、とんでもない“迷惑行為”が相次ぎ発覚しています。温泉に入浴剤混入は何罪?持ち帰りNGのアメニティーは?元検事・亀井正貴弁護士の解説です。
■ボンタン湯のボンタン、食べたら何の罪?『温泉』のギモン
2025年2月、鹿児島市『吉野温泉』で、“温泉”に入浴剤が混入されました。一度に5つ入れられていたことも…。元検事・亀井正貴弁護士によると、温泉に入浴剤を混入させたら、『器物損壊罪』や『偽計業務妨害罪』となる可能性があるということです。
Q.「器物損壊罪」とありますが、何を壊したことになりますか?
(元検事・亀井正貴弁護士)
「気にしない人にとっては入浴剤が入っていようがなかろうが影響はないかもしれませんが、本来、温泉は効能をもって集客するわけですから、入浴剤によって効能が害されたら“お湯が壊された”ということで、器物損壊罪になり得ます。また、それによって業務自体が害される可能性もあるので、営業妨害にもなり得ます」
Q.施設側は、賠償請求できますか?
(亀井弁護士)
「入浴剤が効能に弊害があれば、お湯はそのまま使えませんから、排除して入れ替えなければいけません。だから、それにかかる費用や、その期間中の営業利益については、賠償請求できます」
一方、2025年2月、鹿児島市『中山(ちゅうざん)温泉』では、『ボンタン湯』として湯船に浮かべていたボンタン20個が全てなくなる被害に遭いました。ボンタンを持ち去った高齢男性は、「食べたかったから食べた」と話したということです。
Q.湯船に浮かんでいるボンタンを食べたら、何の罪になりますか?
(亀井弁護士)
「他人の所有物を自分のものにしたわけですから、『窃盗罪』が成立する可能性はあります。その場で食べようが家で食べようが、盗った段階で窃盗罪です。もし、食べるのではなく握り潰すなどした場合は、器物損壊罪になり得ます」