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【独自解説】「当初していたのは外部通報をした“犯人捜し”」兵庫県・斎藤知事“パワハラ疑惑” に新事実 元幹部職員の告発は本当に“公益通報”の対象外なのか?調査初動の問題点を専門家が指摘

2024年8月20日 16:00

Q.県側は、4月の中旬に弁護士が「公益通報に当たらない」という見解を出す前に、粛々といろんなことを進めていますが、これはどうなんですか?
(亀井正貴弁護士)
「非常に問題だと思います。通報の対象は知事ですから、県側の知事や幹部は実質『利害関係人』なんです。当初しているのは、外部通報した“犯人捜し”です。人事課を使っていますが、本来外部通報と人事課による懲戒処分というのは対立・拮抗するものです。懲戒処分から守るのが公益通報制度なんです。県側の人事課に調査させたということは、客観性も保てないし公平性も保てないのです。結局は犯人探しをして、自分たちを攻撃している側を潰そうとしたというふうにしか見えません。通常、内部通報の場合は人事課を排除して対応するのですが、外部通報の場合はその辺がちゃんとできていないということも、本件をややこしくしている要因だと思います」

■なぜ元幹部職員の告発文は「公益通報」保護の“対象外”になったのか?

 なぜ「公益通報」保護の“対象外”になったのでしょうか?8月7日に開かれた会見では、「告発文」の内容について、①「具体的な供述や根拠が示されていない」、②元幹部職員への事情聴取で「ウワサ話を集めて作成した」と供述があった、③県の弁護士の見解で「法律上保護する公益通報に当たらない」、からだとしています。

 「公益通報者保護法」は「単なる憶測や伝聞等ではなく、通報内容が真実であることを裏付ける証拠や、関係者による真実性の高い供述など、相当の根拠が必要」だとしています。

 また、斎藤知事は「後から(県の)公益通報の手続きを取ったとしても、それ以前に行われた文章の配布行為が遡って公益通報として保護されることにならない。懲戒処分も逃れられない」としています。

 「公益通報者保護法」では、通報先を①事業者内部、②権限を有する行政機関、③その他の事業者内部(報道機関等)となっています。斎藤知事は「内部通報は、真実相当性がそこまでなくても受け付けられる。一方外部通報は、真実相当性が要件となっている」と話しています。

Q.内部通報の場合は保護のハードルは低く、外部通報の場合は真実相当性などハードルが高いのはなぜですか?
(亀井弁護士)
「内部通報だと違法性はないのですが、外部通報だと例えば自分が属している企業の名誉棄損や信用棄損、誠実義務違反などだけではなく、場合によっては刑法や民法に触れる恐れもあるので、その違法行為を消すのであればそれなりにハードルを上げるということです」

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■懲戒処分の調査権と懲戒権を持ってる人事課が初動の調査…そこに問題点はなかったか?
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