【独自解説】「当初していたのは外部通報をした“犯人捜し”」兵庫県・斎藤知事“パワハラ疑惑” に新事実 元幹部職員の告発は本当に“公益通報”の対象外なのか?調査初動の問題点を専門家が指摘
■事情聴取で食い違う証言…斎藤知事のいう「嘘八百含めて文章を作った」はは事実かそれとも…
そして新たな火種として、事情聴取の食い違いがでてきています。3月25日の県・人事課の 事情聴取で、「元幹部職員は『告発文の内容はウワサ話を集めて作成した』と供述した」としていましたが、4月1日、元幹部職員は「私と人事当局間でなされた意味のあるやり取りは、3月25日、職員局長へ電話で『告発文は自分一人で作成した。他に関係者はいない』と伝えたのみ」と反論しています。
また、3月27日、定例会見での斎藤知事の「本人も認めていますが、事実無根の内容が多々含まれている。嘘八百含めて文章を作って流す行為は公務員失格」という発言に対して、元幹部職員は「私への事情聴取も内部告発の内容の調査も十分なされていない時点で、公の場で告発文章を『誹謗中傷』『事実無根』と一方的にきめつけている」としています。
Q.この食い違いをどう思いますか?
(亀井弁護士)
「告発した元幹部職員としては、自分を潰しに来る人間が調査するわけで、その人たちに情報源を明かすと情報源の人に迷惑が掛るし、潰されるということがあるので、調査する側もそういった事情を汲まないといけないと思います。もしかしたら、知事や幹部は分かった上でこういう発言をしているのかもしれません」
元幹部職員が停職3か月の懲戒処分を受けたことについて、懲戒権を持つ県・人事課の担当者は「人事当局としては、懲戒処分を前提とした調査を行うにあたって、関係者の供述だけではなく裏付けとなる物的な証拠もできる限り集めている。のべ8時間にわたる聴取を丁寧に行っているので、我々としては適切な調査を尽くした」と説明しています。8月7日、斎藤知事は「懲戒処分“ありき”の調査をしたという認識はない」と答えています。
一部報道で、「人事課の調査で、職員の私物のスマートフォンのSNSの履歴を調査の必要性など説明なく見せるように要求」とありました。これに対して斎藤知事は「しっかりと調査するようにということを指示したが、具体的な調査内容までは指示はしていない。一般的に、任意での開示依頼に対して、相手方が協力的に調査に応じた場合は、調査手法として法的に問題がない。これは県の特別弁護士にも確認している」と発言しています。
Q.「任意で」と人事課から言われたときに、本当に任意になりますでしょうか?
(亀井弁護士)
「知事の発言は、断片的な部分だけを取り出しているので、これ自体を間違いとは言えないのですが、大きく見ると間違いだと思います。“捜査”ではないので、調査に当たってどういう目的でしているだとか、スマートフォンは完全にプライベートなものですので、出さなくても良いという前提で説明しないといけませんが、そういうことはしていないのではないでしょうか」