“斎藤知事再選”自民兵庫県議団が知事選を検証 県議アンケートに「独自候補の擁立断念が結束乱した」「稲村氏の思想信条で保守層離れた」

自民党の兵庫県議団が22日、斎藤元彦知事が再選を果たした去年11月の県知事選挙を検証する文書をまとめたことが関係者への取材で分かりました。文書には、自民県議36人を対象としたアンケート結果も記載されていて、独自候補を擁立できなかったことが自民内部の分断を招いたとする意見が多数を占めたことなどが記載されています。
■県・中央省庁幹部に打診・面談も…擁立断念で自主投票 県議を分断か
文書は全33ページで、情勢分析と自民県議へのアンケートの2段階で構成されています。
文書内では、自民県議団が独自候補の擁立を断念した経緯について触れられていて、公明党などと共同で斎藤知事に辞職を要求した2024年9月12日に独自候補の擁立に向けた「調査会」を設置し、候補者の選定を進めましたが、「県幹部や中央省庁幹部に打診や面談を行ったが、ふさわしい候補との結論に至らなかった」と振り返っています。
その後県議団は、候補者の支援をそれぞれに委ねる「自主投票」を決定しました。県議へのアンケートでは、この決定によって、「(県議の)支援対象が大きく分極した」「結果的に議員団や地方組織の結束に乱れを引き起こした」とする意見が多数を占めていたということです。
当時、自民県議の一部には無所属で出馬した前尼崎市長の稲村和美候補を支援する動きがありましたが、県議の1人は「リベラルと繋がる稲村候補に対し、保守層が離れていった」とする意見を寄せていました。
■報道の「過熱」「自粛」が斎藤陣営を後押し「ほぼ全員が真偽不明の情報に戸惑い」
当初、優勢とみられていた稲村和美候補が失速し、斎藤知事陣営が支持を集めた過程についても分析が行われました。連日の報道によって「単純接触効果(接触時間が長いことで好意を抱く現象)が働き、潜在的な斎藤氏ファンが形成」された状態だったことに加え、知事がテレビ出演を重ねたことで、「同情論を含めて風向きの変化が見え始めていた」としています。
事前報道の過熱は「有権者の『真実は何』の関心を高めた」ものの、選挙期間に入ると報道自粛によって報道機関からの情報量は減少し、結果として「有権者はネットに情報を求め、デマ情報に多く接触することとなった。特に知事への好意的なデマ情報が広がりやすい状態が浸透していった」としています。
アンケートの総括には「ほぼ全員が真偽不明の情報に戸惑っていた」「条例や情報内容や発信者の開示に処罰を伴う法整備が急務であると提起しているもののの、現実には手をこまねいて見ているしか方法はなく、指摘した議員は無力感を訴えている」などと記載されているということです。