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【物議】退職金控除“優遇”が雇用の流動化を妨げる?政府の懸念に疑問の声「完全に騙されています、『この控除がなくなったから転職しよう』となりますか?」税理士監修の試算で見えた驚きの“増税額”とは―

2025年3月27日 8:00

■控除=転職を妨げる?政府の説明に疑問「あと10年勤めたら控除額が上がるから…とは考えない」

 退職金の課税を見直す理由について、石破首相は「退職金とは長期にわたる勤務の対価の後払い。控除は勤務が長ければ長いほど多く、退職するのをやめようかという話になっちゃう」と、転職を妨げる一因なのではないかと疑問を呈しました。

Q.石破首相は、「長く勤めたほうが得だから」と転職しにくい環境を作っているのではないかと懸念しているようですが、どう考えますか?
(弁護士・嵩原安三郎氏)
「完全に騙されていますよ。『この控除がなくなったから転職しよう』となりますか?もともと40万円の控除はすごく良い制度で、長く勤めたら、さらに控除が優遇されるというものです。企業にとっては、長く勤めてくれる人がいたほうが良いので、この制度は残したほうが良いです。

また、転職は、もっと短いスパンでするものです。10年目ぐらいで転職を考えたときに、『あと10年勤めたら控除額が上がるから…』とは考えませんし、20年目の人が21年目に突入するときに悩むことはあるとしても、それはレアケースです。だから、この制度が流動化を妨げる要因になっているという話は、僕はウソだと思います。

しかも、退職金自体が法律の制度ではないので、今の会社と次の会社では退職金が違って、次の会社のほうが大きいこともあります」

Q.「20年以上頑張ってきたのに、こんな仕打ち受けるのか」と、転職を考える人が出てくる可能性はありませんか?
(嵩原氏)
「次の転職先では一から退職金の積み立てが始まるので、金額はぐっと小さくなるため、長く勤めた人は、それも踏まえて自分の将来設計を考えます。だから、実例としては、『この制度があるから一律で転職を阻害する』とは考えにくいと思います」

 日本大学経済学部・安藤至大教授は、「今までのことを全部無視して、いきなり税率を変えることはなかなか難しく、社会的にも受け入れられないと思う。制度変更は、10年以上の期間をかけて見直す必要がある。ただ、次世代のために、中高年以上の世代には多少の“痛み分け”をしてもらうことになるのでは」と話していました。

(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年3月7日放送)

最終更新日:2025年3月27日 8:00
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