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台風対応の職員が勤務直後に死亡 遺族が市に賠償求め提訴「責任を認めてほしい」 和歌山・田辺市

2024年9月26日 10:23
台風対応の職員が勤務直後に死亡 遺族が市に賠償求め提訴「責任を認めてほしい」 和歌山・田辺市
死亡した中野典昭さん

 2018年8月、和歌山県内で甚大な被害が出た台風20号をめぐり、対応にあたった田辺市職員の男性(当時57)が勤務直後に死亡し、2020年に公務上の災害と認定された事故で、25日、遺族は「責任を認めてほしい」と市を相手取り、約7000万円の賠償を求める裁判を起こしました。

 和歌山県田辺市危機管理局長だった中野典昭さん(当時57)は、2018年8月23日の朝から翌日24日夕方までの約33時間、台風第20号への対応に従事し、帰宅した翌朝の25日朝に自宅で倒れ、26日に脳出血で亡くなりました。中野さんは高血圧の持病を有していましたが、遺族が地方公務員災害補償法に基づき、公務員災害認定請求を行った結果、台風20号への対応の負荷がその持病を著しく悪化させ、脳出血を発症させたとして、中野さんの死は2020年6月に「公務上の災害」と認定されました。

 遺族によりますと、中野さんは台風20号への対応中、遺族に対して「すぐ帰るしんどいから」「たおれそう」「体調悪い」などのメッセージを送っていたということです。その後、2023年7月に有識者による第三者調査委員会が発足し調査が進められ、2024年に報告書が提出されましたが、田辺市は報告書が提出されるまで「勤務(台風への対応)に関しては職責の範囲内」との説明を繰り返していました。

 25日、遺族は田辺市の対応が誠実でないとして、市に対し損害賠償として7146万2000円を求める裁判を起こしました。記者会見で遺族は「高血圧という持病がありながら、緊張のある災害の中で健康を考えずに仕事に従事させた。田辺市にはその責任を認めてほしい」と話しています。

 一方、田辺市は「訴状を見ていないのでコメントできない」としています。

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