×

【独自解説】『高額療養費』二転三転の末引き上げ見送り 混乱の背景には“ある人物”の存在も…さらに今後薬局で買える薬は病院から処方しなくなる?医療費削減で注目される『OTC』とは―?

2025年3月16日 9:00

■「財源は今ある社会保険料、実質的な国民負担は生じない」高額療養費引き上げの背景には“ある人物”の存在が―?

 どうしても高齢化が進むと、保険の負担の割合が増えてきますが、制度を維持していくにはどこかはいじらなければならないということで、政府としては一応2つの理由が説明されています。

 まず1つ目は、『国民医療費』の増大です。2023年度には、過去最高の約47.3兆円も年間支出があります。高齢化していくと、色んな病気にかかって、病院にお世話になることも多いですし、この『高額療養費制度』というのが、とにかく増えているから、自己負担の部分を、もう少し増やすことによって、何とか制度を維持しようというのが今回の話なんです。

 自己負担の引き上げで 、どれくらい節約できるかというと、5330億円の軽減が見込まれるという試みの計算ができています。これは中々の金額だと思うんですが、実はもう1つ、この『高額療養費制度』を見直さなければならない理由があるんです。

 そのきっかけを作ったのは、岸田前首相です。岸田政権の時に“異次元の少子化対策”というのを掲げました。その時、ちょうど岸田政権が支持率が伸び悩んで、『増税メガネ』などと揶揄されていましたよね。それで子育て対策で、増税するんじゃないかという批判が出た時に、岸田さんはこう言いました。

 「財源は社会保険料、実質的な国民負担は生じない」と宣言したので、結果としてどこからか捻出しなければならなくなり、それを『高額療養費』に求めてきたということなんです。

 個人的には、新しい対策にとり組む時に、税金じゃなく社会保険からやっていくというのは禁じ手だと思っていたんですが、ある意味では前政権のツケが石破さんに降りかかってきたという見方もできると思います。

■薬局で買える薬は処方しなくなる?処方箋見直しで医療費削減か…今後議論が進む『OTC』に注目

 『高額療養費』の話については、とりあえず“凍結”なので、しばらくは様子見となりそうですが、それよりも先に話が進みそうな話が『OTC=Over the Counter』薬を巡る議論です。要は“薬局で買える薬を病院で処方するのをやめる”という話です。

 これは2025年度の予算案が衆議院を通過させるために、衆院で少数与党の自民・公明両党が日本維新の会と協議して、教育無償化と国民医療費の負担軽減に取り組むことで合意したことで、維新は予算案に賛成しました。3党合意で決まった話なので、高額療養費よりもこちらの方が先に議論が進んでいくと思います。

    一緒に見られているニュース
    読売テレビのニュース
    24時間ライブ配信中
    日テレNEWS24 24時間ライブ配信中
    logo

    24時間ライブ配信中