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【独自解説】『高額療養費』二転三転の末引き上げ見送り 混乱の背景には“ある人物”の存在も…さらに今後薬局で買える薬は病院から処方しなくなる?医療費削減で注目される『OTC』とは―?

2025年3月16日 9:00

 「OTC」という言葉に馴染みがなくても、薬局で花粉症薬や風邪薬などに、“医療用と同成分・同量配合”と書いてある薬を見かけたことはないでしょうか。これがOTC薬です。元々は医師の処方箋がないと手に入らなかった薬を、規制緩和によって薬局で直接購入できるようにしたもので、「スイッチOTC医薬品」などとも呼ばれています。

 直接薬局などで買えるようになった薬は、医師が処方するのをやめようというのが、健康保険制度を維持するためのもう一つの議論の柱です。それによって結構な医療費が軽減できると言われていて、こちらは年間3200億円ほど削減できるのではないか、と言われています。

 ただ、「同じ薬でも病院でもらった方が安くつく」と感じている人は結構いるかと思いますし、薬によってはその通りのケースも見受けられます。一例として湿布薬などは、3割負担の場合、処方箋経由で調剤薬局で処方してもらうと、自己負担額は1617円からですが、薬局で直接買うと1730円からです。これが高齢者の方で1割負担の場合は自己負担額が500円ちょっとになるので、差額はさらに開きます。

 しかし、これはあくまで私たちのお財布から実際に出ていく自己負担額の比較であって、処方薬の場合は、費用の7割以上を健康保険組合が医療機関や薬局に払っているという事実も、忘れてはなりません。もちろん、物価高などで生活が厳しい中、毎日の家計支出を減らしたい気持ちもありますが、万が一大病を患ってしまった場合に役に立つ医療費制度を「セーフティーネット」として残していくためには、こうした部分の見直しはある程度は避けられないかもしません。

 ただ、今後問題になってきそうなのが、こうした与野党間の議論の「土台」となるべく、石破政権の屋台骨がここへきて揺らいできているという点です。高額療養費の問題を巡って政権方針が二転三転し、こういうことをすると首相の「求心力」というのが失われて、自民党の議員から正面切って交代を求める声が上がり始めました。

 本格的な議論は夏の参院選後に始めるとも言われていますが、そもそも、石破政権は「夏まで持つのか」というくらい、高額療養費の対応をきっかけに政権の足元がぐらつきはじめていて、政策そのものの是非以前の問題が心配されます。
(「かんさい情報ネットten.」2025年3月12日放送)

最終更新日:2025年3月17日 11:58
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