『秋田には "言葉にされてこなかった魅力" がたくさんある』フォトグラファー高橋明里さん
来月、東京の富士フォトギャラリー銀座で鳥海山ろくの自然をテーマにした個展を開催する秋田市在住の風景写真家 高橋明里さん(27)。
カメラを持ち撮影をはじめてから7年、秋田の自然の魅力と真摯に向き合ってきた高橋さんの思いを聞きました。
きっかけは映画「ロード・オブ・ザ・リング」
高橋さんが風景写真を撮ろうと思ったきっかけは、17歳の時に見た映画「ロード・オブ・ザ・リング」。
撮影の舞台となったニュージーランドの風景に心を打たれたと言います。
当時、学校生活のことで悩みをかかえていた高橋さんでしたが、映画の中の景色のすばらしさに背中を押され「いつかニュージーランドに行って風景写真を撮る」と決意。
就職した年に当時の全財産をつぎ込んで念願のカメラを購入しました。
秋田の景色を撮りはじめて7年、今はフリーランスで主にYouTubeのシナリオライターなどをしながら、写真や映像にまつわる仕事をしています。
何時間も待ってシャッターを切らずに帰ってくることやクマとの遭遇 自然との向き合いには常に緊張感が…
撮影には1人で出かけることが多いという高橋さん。
「森や滝の前で光の変化をじっと待つ時間が好きで、静けさの中に身を置く感覚が、自分にとって大切なひとときでもあります。」
「何時間も待っても思うような光が入らず、1枚もシャッターを切らずに帰る日もあります。ときには深夜に出発して、隣県まで移動し、夜明け前のまだ暗いうちから現地で静かに待機することも。それでも、ほんの一瞬、霧が差し込んだり、朝の光が木々を照らす瞬間に立ち会えると、"また撮りに行きたい"と思ってしまう。その感動があるからこそ、写真をやめられずにいます。」
自然相手の撮影、ひやりとしたこともあったと言います
「元滝伏流水で一度、熊と遭遇したことがあります。距離があったため無事でしたが、あのときの緊張感はいまでも忘れられません。その他にも足場の悪い場所や突然の悪天候など、自然との向き合いには常に緊張感があります。」