【特集】続くコメ騒動 農家の現状は?今後の農業の進むべき道は?減反政策と戦い続けてきた男性を追う
■担当記者が解説 コメ政策の転換点
【田村修アナウンサー】
長年、涌井さんの取材を続けている、県政担当の川口大介記者です。
涌井さんもインタビューで話していましたが、コメ余りを前提にした国の政策が限界を迎えたという印象を受けました。
【川口大介 記者】
はい。コメ政策はまさにいま、転換点を迎えています。
近年、食料の安定供給を意味する「食料安全保障」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
日本人の主食のコメの不足、いわゆる「令和の米騒動」を教訓に、安定的に供給できる体制を構築する必要があります。
農林水産省によりますと、稲作の現場では、7割が、後継者がいません。
このまま廃業・引退が進めば、引き受け手がない田んぼが荒れ果てていく懸念があります。
こうした状況から、涌井さんは「この先のコメ作りはいまの延長線上にない」と考えていて、徹底的な先進技術や、収益性を高める多収穫米の導入などを提言し、すでに取り組みを始めています。
また、農林水産省は、転作を誘導する役割を果たしてきた交付金制度について見直す方針を示しました。
涌井さんはこれを「55年間続いたコメの生産調整から増産へのシフト」ととらえています。
そのうえで、担い手不足も背景に、家業として続いてきた農業を産業へと転換させ、維持させていく必要があると話しています。
涌井さんの開拓・挑戦はこれからも続きます。
この先コメをどのように安定的に生産していくのか。
そして、農村と田んぼを維持していくのか。
国の政策の動きを含めて注意してみていく必要があります。